short2

□好きじゃない
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ナマエはアラウディの大事な来客が来ると聞いて紅茶を彼のところに持ってきた

『アラウディーっ!!紅茶もってき……』

「アラウディ〜久しぶりね♪」

「そうだね」

アラウディの隣にナマエよりも背が高く、恐らくアラウディの幼馴染みだと思われる女が座っていた

『……え』

ナマエは驚きのあまりに紅茶を落としそうになったが近くの机に置いて再びアラウディたちの方を見た

「あら、誰?あの子」

「……ナマエ」

ナマエはアラウディに顔を見てみると表情が読めないほど無表情だった

「ナマエ?……ねぇアラウディ、私とあのナマエって子……どっちが好きなの?」

女はアラウディの腕に抱きついて聞いた

「ナマエより君に決まってるでしょ」

『…………(ズキッ』

アラウディは未だに表情を変えず、その言葉を口にした

「キャー!さっすがアラウディ♪わかってるわ♪」

『し、失礼しま……した……』

ナマエはそこにいるのがやっとのほど、傷付いていた

なんとかその場から逃げようとアラウディの部屋から飛び出した

「……」

アラウディはナマエが出ていった扉を暫く見つめていた










―ナマエ目線―

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!

アラウディが……アラウディが!

“ナマエより君に決まってる”

『う、うぅ……』

ドンッ

下を向きながら歩いていたら誰かに当たってしまった

「うおぉっ!?ってナマエか、今日はアラウディ……」

声からするとGだ。いつもは謝ってるけど今はそんな気力もない

『……グスッ』

「って、はぁ!?え、どどどどうしたナマエ!?」

Gは私の顔を覗くと涙目になってることに驚き、あたふたしている

「G、どうし……ナマエ!?」

遠くの方からジョット兄の声がした

足音でこちらに近づいてくることがわかる

「いいい言っとくけど泣かしたのオレじゃねぇーからな!?(誰が泣かしたのか知らねぇけど完璧ジョット怒ってるぞ……)」

Gは相変わらずあたふたしている

「ナマエ?どうした?何があった?誰に泣かされた?」

ジョット兄は私の背中をさすりながら優しい言葉をかけてくれた

それにこたえようと私は声を出した

『グスッ……じょっと……にぃ……』

「……アラウディじゃねぇか?」

アラウディのことを言おうとした瞬間、Gが先に彼の名前を出した

「!!そうなのか?」

ジョット兄は目を見開いて私に聞く

『じょっと、にぃ……私……初恋が失恋に終わっちゃったよ……』

「……」

「お、おい……ジョット?」

黙り混むジョット兄にGが声をかけると

「アラウディ……殺る」

ジョット兄から黒いオーラが出ていたのは言うまでもない

「(こ、こえぇ!!)と、とにかく場所変えるぞ!ここ廊下だし、他のやつが来たら厄介だぜ?」

「そうだな……ナマエ、立てるか?」

『……うん』

どんなときでもジョット兄はいつも優しくしてくれる

「ひとまずオレの部屋に行こう……G、ナマエの好きなホットチョコレートを持ってきてくれないか?」

「あ、あぁ……わかった」

ジョット兄と私はジョット兄の部屋へ、Gは台所に向かった










―G目線―

「ナマエが失恋……か」

どーせ失恋した相手はアラウディだろうな……

ナマエは可愛いし、優しいし、まぁアラウディに対しては積極的であいつがどう思ってるのかは知らねぇけど……

ナマエを泣かせたのは絶対に許さねぇ

オレだってナマエのことが好きだ……
今でもだ

でもナマエがアラウディに恋をしたと聞いたときからオレはあいつの幸せを願ってオレは全力で応援をした

それなのにあいつは……

オレは出来上がったホットチョコレートをお盆に乗せて、ジョットの部屋に向かおうとするとそこには……

「ねぇ」

「あ?……アラウディっ!」

腕を組ながら壁にもたれかかっているアラウディがいた

「そのホットチョコレート、彼女にあげるの?」

「テメェには関係のねぇことだろ?もうナマエに関わんなよ」

「僕がナマエに関わるのは僕の勝手でしょ」

こいつ……ナマエを泣かしたのに……

「っざけんなっ!!」

オレはアラウディの言葉にムカッときた

反射的にそいつの胸ぐらをつかんで壁に押さえつける

ドンッ!!

「テメェ、ナマエがどれだけ悲しい思いをしたのかわかってんのか!?」

「……」

「そんなことをしてまだナマエに関わろうとしてんのか!?どれだけナマエを悲しませたら気がすむんだ!?」

「僕は彼女のことが好きじゃないからね」

こいつ……まだっ……!!

『アラウディ?』

!!

声がした方を向くと驚いているナマエとジョットがいた

「なっ……ナマエ!?なんでここに……」

「さっきここでなにか大きな音が聞こえてな…………アラウディ」

ジョットはオレにそう伝え終わると目線をアラウディに向けた

「……」

『アラウディ……好きじゃないって……やっぱり……私……』

「うん、君のこと、好きじゃないよ」

さらっとナマエが傷付く言葉を口にするアラウディ

『……っ……』

「テメェ!!」

“いい加減にしろ!”と言おうとしたらナマエはそこから出ていってしまった

「あ、おい!ナマエ!?」

「アラウディ」

「何?」

ジョットの表情は見えないが明らかに怒ってる

「ナマエを悲しませたら許さないとオレは言ったぞ」

「僕は彼女を悲しませてないよ」

「はぁ!?」

訳わかんねぇ……

「……」

ジョットは無言でアラウディを睨めつける

「言っとくけど君たちは勘違いしてるよ」

「「!?」」

何を言っているんだこいつは、と思った瞬間、あいつから意外な言葉を聞いた

「僕は彼女を……
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