long

□俺と声が出ない彼女1【伊月俊】
1ページ/3ページ

今日はクラスで席替え。

今まで日向と隣だった俺は今の席が好きだ。

正直席替えなんてしなくてもいいと思っていた。

そう考えているうちに俺の番が回ってきた。

クジを引いて番号を見ると、さっき見せてもらった日向とは遠いようだ。

しかも一番後ろのはしっこ。

運が悪ければ喋る相手がいないのかもしれない。

色々考えながら席に戻ると日向が話しかけてきた。


「なんだ伊月、嫌そうな顔して。」

「いや、日向とは離れてしまうなと、思ってさ。」

「番号は?」

「この番号さ。」


俺はさっき引いたクジを日向に見せる。

日向は“こりゃ、遠いなー。”と言って自分の番号と交互に見る。

すると“伊月いーなー!その席サボれるじゃん!”と元気な声が聞こえた。

声からするとコガ……小金井だ。


「サボれるって……俺はサボるつもりないけど?」

「だったら俺と交換しよーよ!」

「ダメだ。お前、教卓の前だろ?」

「え、なんで知ってんの!?」

「さっき大声で言ってたじゃないか。なぁ水戸部?」

「(コクコク」

「ちぇーっ、つまんねーの。」


コガはしぶしぶ自分の席に戻っていった。水戸部は相変わらずおどおどしているが……。

そして席替えする時がやってきた。

クラスの皆は机に入っている教科書や筆箱、横にかけている鞄を持って席に移動し始めた。


「じゃあな、伊月。」


日向はそう言って自分の席の方にいった。

俺も荷物の整理をしてその席に座る。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ