目は口ほどに物を言う

□03
1ページ/2ページ








「ねぇおじさん、ちょっと聞きたいんだけどぉ…………」

僕が寄ってたかって子供から食料を奪おうとするおじさんの前にスルリと入り込むと、おじさんは嘲るように言い放つ。

「ガキがヒーローヅラしてんじゃねぇよ」

僕はそれを聞くなり笑みを浮かべて、僕の笑みにキョトンとしたおじさんの顔面をめがけて回し蹴りで横から踵を叩き込んだ。

「がっ、ァ!」

汚い悲鳴を上げ、首をおかしな方向に回して崩れおちたおじさんの股間をグシャリと勢いよく踏みつけて、その直ぐ横の髭面の男にストレンジを突きつける。

「かははっ!
 零崎浮世は子供に優しい≠ゥら助けてやんよ!」

僕は声高らかにそう叫ぶと、悲鳴を上げさせる暇も与えずにストレンジで首を横に裂いた。

たった今のその発言は、僕の魔術の一つの発動キーワードだ。
零崎浮世は子供に優しい≠ニ口にすると、対象とした0~18歳までの子供に物理結界を張ることが可能なのである。

仲間の呆気ない死を目の前にし、這々の体で逃げ出す大人達を尻目にし、僕は子供達の方を振り返る。
見ると足元に本が一冊転がっていたので、僕はそれを拾い上げて微笑みかける。

「大丈夫だった?」











数日ぶりにマトモな食料を手に入れることができたオレたちは、アジトへ戻る途中で油断を突かれて大人数人に囲まれてしまった。

「おじさん達だってねぇ、大人しくその食いモンを置いていってくれるってんなら手は出さねぇんだぜ?」

ゲラゲラと笑う大人達に俺たちが悔しさに唇を噛んだその時。
突然俺たちの間に割り込んできた人影があった。

「ねぇおじさん、ちょっと聞きたいんだけどぉ…………」

この場面において場違いにも程があるくらいの問いと雰囲気。
顔も見たことがないからその少年が流星街の新参者だろうと予想し、俺達が危ないと言おうとすると信じられないことが起きた。

俺達を囲った大人で、リーダー格の男が新参者の少年を嘲るように笑い飛ばしたその瞬間に、目にも止まらないほどの速度で繰り出された回し蹴りが男の顔面にヒットし、男は首を160度ほど回転させて絶命した。

絶命した男の股間を液体音が鳴るほど勢い良く踏みつけて隣の髭面の男に鉈のような大振りのナイフを突きつけて哄笑しながら、少年は言い放つ。

「かははっ!
 零崎浮世は子供に優しい≠ゥら助けてやんよ!」

言うと共にナイフを突きつけていた髭面の男の喉を横に裂いて少年が周囲の男達を一瞥すると、男達は小さく悲鳴を漏らして情けない顔で逃げ去ってゆく。

少年がこちら側を向くので俺達が緊張に息を飲むと、そいつは俺が落とした本を拾い上げてさっきと違う朗らかな笑みを浮かべた。

「大丈夫だった?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ