目は口ほどに物を言う
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「クソ!ガキになんか肩入れしやがって!」
「覚えてやがれ!」
「はいはい。
こうも毎日それぞれ違う野郎に同じコト言われるなんて、ここの大人はボキャブラリーが足りないねぇ」
僕が彼ら9人の子供達と契約を交わしてから早いことに既に二ヶ月の月日が流れた。
信用しても信頼はしない賢い彼らとは今のところ良い関係を築いていて、僕も契約内容の護衛を滞りなく続けている。
この二ヶ月で彼らの性格がだいぶ掴めてきた。
クロロはこの中で一番大人びていて、時折僕でもハッとするような提案をする子。
プリンが好きらしいがこの流星街において一体いつ食べたんだろう。
シャルナークはこの中で一番情報力が高くマチに次いで手先が器用、僕が教えなくともそのうち廃材を集めてきてマシンを一つや二つくらいヒョイと組み上げてしまいそうな子。
マチちゃんはこの中で一番手先が器用で、男子陣の破いたボロ着を縫い合わせたり集めたボロ布をパッチワークしてみたりする子。
また今度料理を教えてみよう。
パクノダちゃんはこの中で二番目に大人びていて、人の気持ちを汲み取るのが上手であるが故にたまに空気を読みすぎて自分の言いたいことが言えないタイプの子。
フェイタンはこの中で一番背が低…
この中で一番プライドの高いハンター語の苦手な子。
因みに僕は知らず知らずにハンター語を口にしてハンター語を書いていたし読んでいたらしい。
なにそれミステリー。
フィンクスはこの中で一番沸点の低い子。
でも仲間のためにブチ切れる彼は僕の中で株急上昇中。
フランクリンはこの中で一番常識人で、最も面倒見の良い子。
いつか日本風の縁側か何かで一緒に湯呑みでも持ってくつろいでみたい。
ウボォーギンはこの中で最も力自慢、どんな物でも大抵持ち上げる彼に僕の魔術の出番はとことん取られている。
ノブナガはこの中で最もジャパン…じゃなくてジャポンフリーク、日本人の僕とジャポン話でなかなか盛り上がる。
いつか刀をプレゼントしてみよう、もしかしたら喜んでくれるかも。
「ウキヨ?どうしたの?」
9人のコトを考えていると、今日の食料調達当番のシャルナークが話しかけて来た。
因みに今日の当番、シャルナークの他はウボォーギンとマチである。
「うん?
いや、この野郎共見てるとなんだかね」
僕はそう言って会話と思考を倒れ伏した野郎共にシフトした。
「そーいやよぉ、ウキヨは何でそんなに強えーんだ?
正直俺らよりちょっと身長高けーだけだし、しかも俺よりずっと華奢じゃねーか」
シャルナークを挟んで一番端を歩いていたウボォーギンがそう言って僕の二の腕をペタペタと触る。
──やめなさい。
「うーん…これは強さじゃなくて技術だからね」
そう言うと僕は肘を曲げて力こぶを作ろうとしてみせる。
男性の平均より少し上ぐらいの力しか無いからね、僕。
「力こぶの大きさでは俺勝ったぜ!」
「アタシと同じく程度じゃないかウキヨ」
「ハハ、故郷の兄姉(きょうだい)達にもひょろいひょろい言われてたよ」
「そもそも何でウキヨってここに居るの?」
「バッ…シャル!」
シャルナークがポンと軽く聞けば、マチが戒める。
仲良いねぇ…もう…!
「良いよマチ、気にすることでもないから」
「そうなのかい?」
「うん、正直言って僕自身がよくわかってないんだよ。
ここに来る前の出来事もつまらない私怨だからね」
「「「私怨?」」」
「ちょっと一族郎党皆殺しにあってね、私怨で復讐したら勝っちゃったんだけど、気付いたらここに捨てられてたらしくてねぇ…」
僕はそう軽く言ったのだけど、三人は何故か僕を見て硬直している。
(目が怒ってるし全然ちょっとじゃないんだけど)
三人が満場一致でそう考えたのは、僕の知り得ない話。