冥王星にさよなら
□うわさのあれこれ
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さぁ、今日も仕事だと思い部屋に出た。シンドバッドから、住む場所を、仕事を貰い、今日も私は生きている。
感謝どころではい。もう、どうしたらよいのかわからない程だ。
白いワンピースを靡かせながら、今日もジャーファルさんの元へ行く。
「あら、アナタ」
高く愛らしい声が、聞こえる。これは私に向けられているのだろうかと、周りを見渡せばその声の主は私の後ろにいた。
そして、その声の主はとんでもなく美しかった。全てが美しくかった。特に、おっぱいが。ガン見してしまうくらいに、おっぱいが。
凄かった。
固まっている私に、その美しい人物が声をかける。
「アナタ、よのは?」
「はっはい」
私がその問いに頷けば、ぱっと嬉しそうな顔をした。
その顔があまりに愛らしく、私は見とれることしか出来なかった。
「私は、ヤムライハよ」
「初めまして。よのはと言います。あの、服を譲って下さってありがとうございます」
頭を下げれば、ヤムライハさんはクスクスと笑っていた。
「あの?」
「ごめんなさい。噂、通りだなと思って」
噂。私の噂が流れていたことに驚きだ。一体、どんな噂なのだろうと思っていると、ヤムライハさんが噂について語ってくれた。
「真っ直ぐで、一生懸命。見ていると、構ってあげたくなる子。やっぱり噂通りね」
身体が急に熱くなる。誉めなれていない為か、どう対応したら良いのかわからなくなる。
何より、そう告げるヤムライハさんが素敵だった。
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ヤムライハさんとお喋りをしながら、ジャーファルさんの元に向かうことになり私はドキドキだった。
「よのはもいろいろと大変だったみたいね」
チラリと左手に視線を向けそう語るヤムライハさんに私は笑って返した。
「はい。ですが、たくさんのものを頂きまました」
シンドバッドさんには、どう恩を返したらいいのかわからないくらいのものを貰ってしまったのだ。
そう告げるとヤムライハさんは、優しく微笑む。
「よのは、あんまり堅くならなくてもいいのよ。もっと楽にして」
「私的には、結構楽なつもりなんですが」
すると、ヤムライハさんはそれは困ったわねと笑った。私もつられて笑った。
そろそろ、ヤムライハさんとは別れなくてはいけないのだが、とても名残惜しかった。
「また、お喋りしましょうね」
「はい!」
何とも嬉しい誘いに、顔が自然とにやけた。ヤムライハさんが、ここでお別れねと告げる。私もはい、ありがとうございましたと頭を下げた。
お互いに手を振り別れようとした時、ヤムライハさんが思い出したようにそれを告げた。
「あっ、あの噂だけど」
「はい」
「発信源は、王よ」
王。王とは、シンドバッドさんのこと。
それを理解した瞬間、ボッと身体が熱くなる。恥ずかしいやら、嬉しいやら、何とも言えない気持ちがぐるぐるした。
そんな私を見ながら、ヤムライハさんはじゃね、と笑いながら去って行った。
まだ、1日は始まったばかりだと云うのにシンドバッドさんの顔をまともに見られる自信がなかった。