冥王星にさよなら
□おうさまのつとめ
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ジャーファルさんがシンドバッドさんと少し込み入った話をするようで、私は暇を出された。
流石に部外者の私が聞いていい話ではないので、そくささと執務室を出ようとしたらシンドバッドさんは陽気に笑った。
「よのは、そんなに焦らなくていいよ。寧ろ、ここにいてくれても、」
「シン!!!」
ジャーファルさんが、間髪入れずにシンドバッドさんの言葉を遮った。
シンドバッドさんの言葉は嬉しいが、流石にそれは出来ない。ジャーファルさんは完全に呆れ顔だった。
「頑張って下さい」
「終わったら、呼びにいくよ」
「ありがとうございます」
一礼し、執務室を後にした。
ぷらぷらと城内を散策しながら誰かと出会わないかなと思っていたが、そう云う時に限って誰とも会えない。残念だな、シャルルカンさんとかいないのかと考えていると中庭まで来てしまっていた。
「あっ」
周りを見渡すと、信号機カラーが目に入った。横たわって、何をしているのだろうかと思い近づいみるとそこには昼寝をしている3人─アラジンくん、アリハバくん、モルジアナちゃん─がいた。
私が近づいても中々、起きる気配がない。これはよく寝ているなと見ていて微笑ましくなった。
「可愛いな」
自然と溢れてしまったその言葉に、私はあることを思い出し急いで自室に走った。
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ジャーファルとの政治問題についての議が終わり、よのはを探しに城内を歩いていた。ジャーファルは、自分が行くと言っていたがオレが行きたいんだと告げればその役目を任せてくれた。
さて、何処にいたものかとよのはが行きそうなところを散策しているといつの間にか、中庭まで来てしまっていた。
「見つけた」
周りを見渡し、やっとの思いで見つけたよのははアラジン、アリハバくん、モルジアナが並んで寝ている少し隣で横になっていた。3人には、風邪を引かないようにと布団が掛けられていた。だが、よのはには何も掛けられていなく3人に掛けたのは彼女だと憶測出来た。
3人に布団を掛けるよのはを思い浮かべ、彼女らしいと思い何とも言えぬ思いが胸から溢れ出そうになった。
よのはの隣に腰を降ろす。起きる気配は一更にない。よのはの頭を撫でた。
よのは、と彼女の名を口にしようとした時、布が擦れる音がしその方に目を向ければアリハバくんが身体を起こしていた。
「やぁ、おはよう」
「えっ、あっ、シンドバッドさん? おはようございます? オレ、寝てたんですか」
「ああ」
参ったな、とアリハバくんは頭を掻いた後、掛けられている布団に気づき礼を告げようとしていた。
「それはよのはだ」
「よのはさん? ああ、寝ちゃったんですか」
「ああ」
「自分が風邪を引くことは、考えなかったんですかね」
呆れ笑うアリハバくんは、自分に掛けられている布団を掴み、よのはを起こさないように優しく掛けた。
仕方ないなこの人は、と呆れ笑うアリハバくんによのはとの親しさを感じた。
「随分と、よのはとは親しいのかい」
「親しいと云うより、気になります」
「何故」
「よのはさん、オレの国の民になりたいって言ってくれたんです。だから、」
民を気にかけるのは王の務めかなって、とアリハバくんは照れながら笑う。
胸にジワリと苦いものが広がった。