冥王星にさよなら
□あかあおきいろ、
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目を開ければ、日が登っていた。
どのくらいの日数が掛かるのかはわからないが、当分の間はここで過ごすことになった。全く考えもしない展開に、ため息しか出来ない。
─コンコン
ノック音が聞こえ、返事をしようと口を開きかけたところでドアが勢いよく開いた。
「よのはお姉さん!! おはよう!!」
アラジンくんが入ってくるなり、私が寝ているキングサイズベッドに飛び乗った。
「おはよう。アラジンくん」
そんなやり取りをしていると、アリババくんが朝食を。モルジアナちゃんが、着替えを持って来てくれた。
「ごめんね、2人共」
無意識に2人の元へ駆け寄ろうと身体を動かした。
「あっ、駄目ッスよ。よのはさん、まだ身体動かせないんですからね」
アリババくんが注意するように私に告げ、朝食を置いてくれた。モルジアナちゃんも私の横に着替えを置いてくれた。
「一人で着替えられますか」
「うん、大丈夫だよ。2人共、ありがとうね」
お礼を告げれば、2人は何てことないと云うように顔を振った。
「アラジンくんも、会いにきてくれてありがとう」
「約束したじゃないか」
けれどやはり、嬉しくて3人にお礼を告げる。どう返してよくか困惑している3人見て、これでは私があの時に道案内をした兄妹のようだなと思うと何だかおかしく更に顔がニヤケてしまった。
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朝食と着替えは、私の身体が動くようになるまで3人が持ってきてくれることになっているらしい。
とても嬉しい報告に、朝から胸が一杯になった。
「左手は、痛むのかい」
「動かさなきゃ、全然痛くないよ」
すると、アラジンくんはほっと安堵した。どうやら、彼は私の怪我を自分の所為だと思っているようだ。そんなことはない。だが、いくら口にして言っても傷が癒えなくては意味がない。
早く治さなくては、と意気込むとアリババくんが私に声を掛けた。
「よのはさんあの、」
「うん?」
「アラジンを助けてくれて、本当にありがとうございます。こいつ、力を使い過ぎると倒れちまうんです」
そして勢いよく頭を下げた。するとモルジアナちゃんも続いて口を開いた。
「私からも、ありがとうございます」
アリババくんと同じように頭を下げる。
自分のことのように、私に感謝している2人に胸の奥が温かくなった。
「3人は、とても仲がいいんだね」
そう告げると、3人は照れたように笑った。更に胸の奥が熱くなる。
可愛いな。本当に、可愛い。身体が動かせるようになったら、3人をわちゃわちゃと撫で回してあげたい。
この世界に来て、久しぶりに穏やかな朝を過ごしたような気がした。