君がくれたもの

□Ep.0 新たなる焔の誕生
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【ファブレ家別荘・跡地】

?:「師匠!!何故俺をこんな所に閉じ込めるんですか!!?
出してください!!
師匠!ヴァン師匠っ!!!」
薄暗いろうそくの明かりが灯る地下牢の中で、まだ10歳ほどの幼い少年が悲痛な声で訴える。
元は美しい白い衣であったであろう、少年の纏うその衣装は、ところどころ破け、赤黒く染まっている。
その姿が、少年が受けている仕打ちの酷さを物語っていた。
ヴァン:「やかましいぞルーク。私たちは今、大事な仕事の真っ最中なのだ。
静かにしないか。」
ルーク:「そんなっ…!」
髭を生やした凛々しい雰囲気の男に冷たい眼差しを向けられ、少年は緑色の瞳を潤ませる。
年端もいかぬ子供が信頼していた師に誘拐され、酷い仕打ちを受けているのだ。
泣きたくなるのも無理のない話だろう。
ルーク:「俺が何をしたって言うんですか!!?」

ヴァン:「お前は別に何もしていない。」
少年の叫びに、男はなんでもないように答える。
ルーク:「だったら何故…っ!?」
ヴァン:「すまんなルーク。
だが、これはこの世界を生まれ変わらせる為に必要なことなのだ。」
ルーク:「世界を…"生まれ変わらせる"…?」
ヴァン:「そうだ。
その為の"試作品"はもう完成した。
見てみよ、ルーク。」
ルーク:「え…?」

そう言って男が示した先には、自分より少しだけ明るい夕焼け色の髪をした、己と瓜二つの少年が横たわっていた…。
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