君がくれたもの

□Ep.1 それぞれの幸せ
1ページ/4ページ

?:「よし、水やり完了!」
日が当たらないこんな大地でも美しく咲き誇る白い花、セレニア。
俺の1日は、だいたいこの花の手入れから始まる。
ティア:「ルーク、おはよう。
またここに居たのね。」
小さな足音に振り返ると、綺麗な髪をなびかせてティアが階段を降りてきた所だった。
ルーク:「おはよう。あぁ、ちゃんと手入れしてやらないと枯れちまうからな。」
ティア:「そうね…、貴重な花だし、とても綺麗だもの。」
ルーク:「あぁ。」
ホントはティアの好きな花だから大切にしてるなんて、キザな台詞はとても言えない。
別にヘタレではないぞ、俺のキャラにあってないってだけで…///
ティア:「ルーク?
ちょっとルーク、顔が赤いわよ?」
ルーク:「ーっ!!?///」
考え込んでいる間に近づいてきたのか、気がつけばティアは目の前に立ち俺の顔を覗き込んでいた。
カッと熱が集まった頬を誤魔化すように、首を横に振る。
ルーク:「なっ、何でもないって!
それよりほら、朝飯食べに行こうぜ!!」
ティア:「わっ、わかったから押さないで!危ないじゃない。」
ルーク:「あ、ごめん…ι」
思わず掴んでいたティアの肩から手を下ろして、キッチンへと向かう。
ルーク:「あー腹減った、朝飯なんだろうなー。」
ティア:「昨日兄さんからエンゲーブ産のリンゴが届いたから、今朝はそのリンゴを使ったリンゴジャムのトーストよ。」
ルーク:「リンゴジャムか、いいじゃん。
早く食いに行こうぜ!」
ティア:「きゃっ!?//
ちょっとルーク!
引っ張らないでったら!」
無防備だったティアの手を掴んで走り出せば、多少抵抗はしたものの、ティアもちゃんと着いてきてくれた。
何気ない平和な朝の風景、太陽の光こそないけれど、温かなこの俺の居場所。
ずっと変わらないと思っていたけど…、この僅か1日後、その考えは甘かったのだと俺は思い知らされる事になる。
でもこの時の俺達はそんな事がわかるわけもなく、何も知らずに呑気に甘いリンゴジャムに舌鼓を打つのだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ