君がくれたもの

□Ep.2 日の当たる大地へ
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「流石に高級なリンゴのジャムだけあって美味かったな〜。」
「そうね、送ってくれた兄さんに感謝しなきゃ。
それはそうと、食べ終わってすぐに寝てはダメよ、ルーク。」
セレニアの花畑にごろんと寝転んだ俺を、ティアがたしなめる。
俺は17歳で、ティアは16歳だからホントは俺のが年上なんだけど、こう言うときのティアは「お姉さん」って感じだ。
「わかったよ。
それでさ、師匠は次はいつ帰ってくるんだ?
また手紙とかもついてたんだろ?」
体を起こして問いかけると、ティアは少しだけ顔を曇らせた。
「どうした?」
「…実は、今回の手紙はちょっとおかしいのよ。」
「おかしい?」
「えぇ。
いつもなら、1つの封筒に私宛とルーク宛の手紙が両方入っているでしょう?」
「あぁ、そうだったな。
そうしないと送るのも面倒だろうし。」
「でも、今回は私宛、ルーク宛、それからお祖父様宛の3枚の手紙が、それぞれ違う封筒に入れられて届いたのよ。
それも、本人以外は開けないようにって注意書きまでついていて…。
あ、はい、これは貴方の分ね。」
「あぁ、ありがとう。」
成る程、確かにそれは変だな…。
いつもの手紙は、2人分合わせても2枚に満たないくらいなのに、今俺が受け取った封筒もいつもより厚いくらいだし。
一体、何が書いてあるんだ?
「私はもう読んだのだけど、内容はいつもと同じような感じだったわ。
だから多分、ルーク宛かお祖父様宛の方に何か大事なことが書いてあるのかも知れないわね。」
「そうだな…。
じゃあ、一旦部屋戻って読んでみるよ。」
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部屋に戻って読んだ師匠からの手紙は、だいたいこんな感じの内容だった。
ルーク、いきなりですまないが、この手紙を読んだらすぐにダアトに来てほしい。
詳しいことは会ってから話すが、今私はこの世界を変えるために大事な仕事をしているのだ。
その仕事の為に、どうしてもお前の力が必要なのだ。
…どうか、協力してほしい。
ダアトで待っているぞ。
そう締め括られていた手紙には、追伸で
「ティアには絶対に話さないように。」
と書き添えられていた。
何故ティアには内緒なのか不思議に思ったが、きっと大事な妹に心配をかけたくなかったのだろうとあまり気にしなかった。
そしてその夜、俺はお祖父様に事情を話した。(まぁ師匠が手紙でお祖父様にも話をつけていたからそんなに時間はかからなかったけどな。)
そして、指示通りティアには一言も告げずに密かにユリアシティを出て、師匠の待つ外郭へと向かったのだった…。
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