君がくれたもの

□Ep.3 母と娘
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〜ダアト・神託の盾騎士団〜
「いい天気だな…。」
師匠に呼ばれ、外郭で暮らすようになってからどれくらい経っただろうか。
魔界(クリフォト)では障気の雲と外郭大地に阻まれ見ることの無かった青空も、今では窓の外にあるのが当たり前になっている。
バタバタバタッ
「アッシュ様!
アッシュ様はおられますか!!?」
「―…何事だ。」
自室で書類を片付けながらぼんやり考えていると、忙しない足音と共に兵士達が駆け込んできた。
「ぼっ、暴動です!」
「暴動だと?
何故そんなことに…。」
窓から身体を乗りだし下を見れば、確かに多くの人々が団体で暴れている姿が見てとれた。
ダアトに暮らす民は温厚な者ばかりなのに、何でこんなことに…。
「イオン様の失踪が何処かから漏れたらしく、導師イオン派の者たちが導師を早く保護せよと暴れているのです。」
「―…成る程、そう言うことか。」
導師イオンが、マルクト軍の軍人らしき男と史上最年少導師守護役の少女を連れて行方を眩ませたのは、今からおよそ一月程前の事だっただろうか。
「暴動の規模があまりに大きく、六神将にも出動命令が出ております!
すぐに出動を願います!!」
「わかった、すぐに行こう。」
兵士達を下がらせ、教団から支給された黒字に赤のラインで模様が入った服に着替え、最後に仮面を付け顔を隠した。
リグレット教官…、いや、リグレットから俺の正体を聞いたとき、俺は"俺であること"を封印した。
この仮面は、その決意の証。
あの人の野望を止める事が出来るまで、俺は"ルーク"には戻らない。
今の俺は六神将…、「鮮血のアッシュ」として生きている。
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