君がくれたもの

□Ep.6 憎しみと友情と
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【ファブレ公爵邸】
「どうだ、居たか!?」
「いや、こっちには居ない。裏門の方はどうだ!?」
「駄目だ、見つからない。」
「もう一度探すぞ!侵入者はまだこの屋敷の中に居るはずだ!!」
そう言って白光騎士団が散り散りになっていくのを見送り、ほっと息をつく。
導師イオンがヴァン謡将に捕まらないよう騒ぎを起こすために、アッシュがファブレ公爵邸に忍び込んだのは僅か10分前のこと。
予め送っておいたメッセージカードを読んだオリジナル・ルークは、狙い通りに屋敷を飛び出して城へ向かってくれた。
軟禁状態にあった一国の第三王位継承者が脱走したとなれば、当然大騒ぎになるだろう。
更に怪しい人物が公爵邸に侵入したとあらば、尚更捜索のために騒ぎが広がるに違いない。
(まぁ、その侵入者は俺だけど。騎士団の皆さん、仕事の邪魔してごめんなさい。)
侵入者=危険と判断して貰えればこっちのもの。
ジェイド達には手紙で作戦の内容は伝えてあるし、この騒ぎに乗じて『導師イオンを安全な場所までお連れする』と言う大義名分の元に、ヴァン師匠に会う前になんとか逃げ出すことが出来るはずだ。
後は、俺がどうやってここから逃げ出すかなんだが…。
未だ血眼になって俺を捜す騎士団の数の多さに、額に手をあてため息をつくのだった。
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