幸せの欠片

□…空…
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「…。」
アルビオールの窓から見える真っ青な空と白い雲。
魔界で空と言えば、見えるのは紫色の障気と黒い外郭大地の底だけ。
私が初めて外郭大地に来たときは、あまりの明るさに驚いたものね…。
「…ティア、何してんだ?」
「きゃっ!るっ、ルーク、驚かさないで!!」
「あっ、ご、ごめん…。」
しゅんとうつむくルークはなんだか子犬のようで、少し強めに言ってしまったことを後悔した。
「わ、私も強く言い過ぎたわね、ごめんなさい。少し考え事をしていたから、驚いてしまっただけよ。」
「考え事?」
私が怒っていないのがわかってほっとしたのか、ルークは私の隣まで歩いてきた。
「ええ。」
「何考えてたんだ?ティアがぼんやりするくらい考え込むなんて、珍しいじゃん。」
ルークの問いには答えず、ティアは再び空に目を向ける。
「たっ、大したことじゃないわ。」
「ホントか?本当はまた何か悩んでるんじゃないのか?そうだったら、俺が相談に…」
普通に否定したつもりが、なんだか妙な
誤解をさせてしまったようで。
ルークは少し疑っているような、それでいて心配そうな様子だった。
「違うわ、本当に何でもないの。ただ……」
「『ただ』なんだよ?」
ルークはまっすぐに私のほうを見つめていて、とてもじゃないけれど、ごまかしは利きそうになかった。
「空って…、本当に青いものなんだなと感じていたのよ。
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