幸せの欠片

□例えばこんな非日常 1
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【貴方は何の秋?】
「あれ、ナタリア何読んでるの?」
世界を救う旅の途中、たまには休養が必要だと言うことでルーク達はバチカルでゆっくりすることにして、女性陣は城で、男性陣はファブレ公爵邸でそれぞれくつろいでいる所だった。
ナタリアの用意してくれた王室御用達のケーキと紅茶に舌鼓を打っていると、ふとナタリアが本を開いているのに気付いた。
「最近巷で人気だという恋愛小説ですわ。」
ほら、と向けられた表紙には、確かにいかにもラブコメらしい美男美女とハートのイラストが書かれている。
「ナタリア、恋愛小説なんか読むの?」
「いえ、この本が初めてですわ。そろそろ秋も深まってまいりましたので、読書の秋も良いかと思いまして。」
執事に用意して頂きましたの、と言いつつ、ナタリアはまた本を読み始めた。
そんなに面白いのかと、ティアとアニスも本を覗き込む。
「どんなお話なの?」
「幼い頃に大人達の策略の為に引き離された男女が、数々の苦難を乗り越え永遠の愛を誓い合う物語ですわ。私も、こんな風にアッシュと愛を誓い合いたいですわ…。」
「あーはいはい、結局のろけな訳ねー。」
「―…。」
「あれ、ティアもこう言うの興味あるの?」
ティアが思いの外真剣に本を覗き込んでいるのを見て、アニスが問いかける。
「えっ!?わっ、私は別に…っ//」
「ーっ!はっは〜ん、なるほどね〜。」
赤くなったティアを見て、アニスは何かに勘づいたようにニヤニヤ笑い出す。
「ティアも恋愛小説の話を、自分と好きな人に置き換えてみたいんでしょ?意外と乙女だね〜vV」
「わっ、私は別にルークと私に置き換えたりなんかしないわよ!//」
「あっれぇ〜、アニスちゃんはルークなんて一言も言ってないんだけどな〜♪」
「ーっ!!!///」
墓穴を掘ったことに気づいて真っ赤になるティア。
そんなティアに、小さな悪魔は更に追い討ちをかける。
「ティアってば、秋だからって自分が紅葉すること無いのに〜ww」
「こっ、紅葉って何なのよっ!もうっ、私は部屋に戻るわ!!//」
「ティアったら初なんだから♪ねーナタリアー、ってあれ?」
「はぁ、読んでいたらアッシュに会いたくなってしまいましたわ…。」
「…こっちもか…ιこれじゃ『読書の秋』じゃなくて『のろけの秋』だねー。じゃ、アニスちゃんは食欲の秋にしよーっと。メイドさん、ケーキおかわりーっ!」
秋の過ごし方は人それぞれ。
―…とは言え、食欲の秋に走ったアニスが自分が2kg太ったことに気づくのはほど遠くない先の話だった。

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後書き→主は今日焼き芋食べ過ぎてお腹が痛いです(・ω・`)
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