君がくれたもの

□Ep.0 新たなる焔の誕生
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?:「〜っ!!―…〜っ!!?」
ぼやけた思考の中、誰かの叫び声と、大人の話し声が聞こえる…。
何を話してるの…?
?:「こ…は、完璧な……在です。」
?:「試…品は…きた。
それ…りの…知識…注入…みだ。
も……ークは必…ない。」

何なんだろう…。
この声は誰の声なんだろう…。
『完璧な存在』
『試作品』
『知識は注入済み』
…これは、俺のことなのか?
この人達は何者なの?
合間に聞こえてくる、叫び声の主は誰?
いや、何よりも……、"俺"は一体"誰"…?
?:「うっ…!」
うっすら開いた視界には、メガネをかけた不気味な男と、髭を生やした冷たい目の男が俺を見下ろしていた。
?:「おや、目を覚ましてしまったようですね。
麻酔が弱かったようです。」
?:「下手な知恵や自我をつけられては面倒だ。
ディスト、ルークと"試作品"のここでの記憶を消しておけ。
ルークは私がファブレ家へ返そう。」
ルーク:「このっ…、ふざけるな!
記憶を消すだと!!?」
?:「大人しくしろ、小僧。
愛しの姫ぎみの元へ帰れずとも良いのか?」
ルーク:「ぐっ…!」
まだ何が起きているのか理解の出来ないまま視線をずらすと、鎌を持った大柄の男に少年が連れていかれる姿が目に入った。
目があった瞬間、少年は酷く驚いたような、それでいて俺を睨み付けるような複雑な表情をして。
でも、何故自分がそんな顔で見られるのかは、この時の俺にはどうにもわからなかった。
ただ一つわかったことは、今、俺はこの世界に生きていると言うことだけで…。
そして、あの時に俺が見た少年が俺を睨んでいた理由を知ったのは今から7年近く後のこととなるのだけれど…。
その時の俺達には、そんなことは知る由もなかったのだった。

〜新たなる焔の誕生〜
―…全てはここから、始まった。

→あとがき
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