君がくれたもの

□Ep.1 それぞれの幸せ
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メイド:「ルーク様、おはようございます。
今日も快晴だと預言者(スコアラー)が詠んでおりましたよ。」
ルーク:「そうか…。」
メイド:「今朝は旦那様がお話があるそうで、大広間にてお待ちになっております。」
ルーク:「わかった、着替えたらすぐに向かおう。」
「失礼します。」と、メイドの姿が扉の向こうに消えると、思わずため息がこぼれた。
ルーク:「早く行かないと…。」
正直あまり行きたくはないが、遅くなると父上がうるさい。
まだ重たい頭を無理矢理起こしてベッドから出た。
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【ファブレ公爵邸・大広間】
コンコンッ
ルーク:「失礼致します父上、ルークです。」
公爵:「入りなさい。」
ルーク:「…失礼します。」
無駄に重たい扉を開いて中に入ると、そこには難しい顔をした父上と、優しく微笑む母上、そして…
ルーク:「ヴァン師匠…!?」
今はダアトで職務を全うしているはずの師匠の姿があった。
ルーク:「何故師匠がこちらに…。」
思わず呟いた俺の言葉には、師匠ではなく父上が答えた。
公爵:「ルークよ、ヴァン閣下は緊急の任務の為、しばらく遠征に出られることになった。」
ルーク:「遠征…ですか?」
公爵:「そうだ。
先日、ダアトにて大規模な反乱が起き、その反乱に巻き込まれ導師イオンが失踪されたことは聞いておるな?」
ルーク:「はい、存じております。」
この間、師匠が稽古の途中でいきなり帰ってしまったときに、腹をたてていた俺にガイが説明をしてくれた。
ここ数年ダアトでは、"導師派"と"大詠師モース派"なる組織の対立が起きており、つい先日、とうとう導師派達による大規模な反乱が起こったのだとか。
そして、その反乱をようやく兵達が沈めた頃には、ローレライ教団の最高権力者である"導師イオン"はそのボディーガードである導師守護役(フォンマスターガーディアン)と共に、忽然と姿を消してしまったのだと言う。
そして、ローレライ教団にて責任のある立場にある師匠は、"導師イオン"を探し出すために急いでダアトに戻らなければならなくなってしまったのだ。
「だから、そんなに拗ねんなよ。」と、そう言ってガイになだめられたのは、つい2〜3日前のことだっただろうか。
ルーク:「それで、イオン様の捜索の為にダアトに戻られたはずの師匠がなぜここに?」
ヴァン:「うむ…、導師イオンはお体が弱く、あまり遠くには逃げられまいと踏み捜索を開始したのだが…、思いの外捜索が難航してしまってな。
しばらくの間、部下を連れて導師イオン捜索の旅に出ることになったのだ。」
公爵:「今の段階では、捜索にどれだけかかるかもわからないのでな。
ヴァン閣下が任務に向かわれる前に、もう一度だけ稽古をつけて頂きなさい。」
成る程、それで俺が呼び出されたのか…。
ルーク:「―…わかりました。
では、稽古の支度をして参ります。」
ヴァン:「あぁ、中庭で待っているぞ、ルーク。」
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