君がくれたもの

□Ep.2 日の当たる大地へ
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「おぉっ!」
ユリアロードを使い外郭大地へ着くと、そこには満天の星が広がっていた。
「ホントに、外郭大地なんだな…。」
ガサッ
「ーっ!誰だ!!!」
と、突如音を立てた草むらに、ナイフを構えたままゆっくり近づく。
普通の外郭の人間はこんな所に居るわけがない。
一体何者…!?
「わっ!!!」
「ーうわっ、ちょっ!!?」
「あはははっ、引っ掛かったね!」
「何だ、お前か…ι
びっくりさせんなよなー。」
「ごめんごめん。
って言うか、ルーク驚きすぎ。
ヘタレなの?」
「いや、いきなり暗闇から仮面した顔が飛び出してきたら驚くだろ!!」
ティアなら失神ものだな…と思いつつ、目の前に現れた緑色の髪をワシャワシャ撫でてやる。
「ちょっと、ガキ扱いは止めてよね。」
少し照れ臭そうにパシッと頭を撫でていた俺の手を振り払ったシンクは、カバンから取り出した小さなランプに火を灯した。
「全く、久々に会った兄貴分にイタズラとかさ…。」
「まだ言うの?
謝ったじゃないか。
だってルークリアクション面白いんだもん。」
そう言ってまた声を立てて笑うシンクを見て、恥ずかしさと同時に嬉しさも感じた。
今のシンクは、仮面ごしでも感情がちゃんとわかる。
初めて出会ったとき、まるで人形のように心を閉ざしてしまっていたシンクに、毎日ウザがられるくらい付きまとっていたかいがあったってものだ。
「―…何ニヤついてんの、気色悪い。」
「―…ι」
まぁ、喋るようになったらより生意気になったけどな!
育てかた間違ったかな…。
育てたの俺じゃなくて師匠だけど。
「まぁいいや。
そろそろ迎えが来るはずだから、早くダアトに行こうよ。
ここちょっと寒いし。」
「あぁ、そうだな。
ところで、迎えって…」
シンクに問いかけようとした所で、力強い羽ばたきの音と共に頭上に大きな影が現れた。
そして、その大きな影から小さな少女が桃色の髪をなびかせながら俺の方に飛び込んできた。
「兄さま!!」
「アリエッタ!!
久しぶりだな、元気だったか?」
小さな身体を抱き止めて頭を撫でてやると、アリエッタは嬉しそうにうなずいた。
「…ふん。」
シンクから小さく不満げな呟きが聞こえたが、この際気にしないことにする。
「総長に言われて迎えに来たの…。
ライガ達が送ってくれるから…。」
「あぁ、ありがとう。」
「…ところで、急に呼び出し食らうなんて、ルーク何したの?」
「いや、心当たりがないんだけど…ι」
「『うちの妹をたぶらかすな!』とかだったりして。」
「そんな訳…、無いと信じたいよ(汗)」
ハッキリあり得ないと言い切れないところが悲しい。
そんな他愛ない話をしながらライガの背に乗ってダアトに向かう。
今夜は冷えるから、ライガのフサフサの毛は暖かくていいやとかそんな下らない事を考えていると、あっという間にダアトに着いた。
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「案外すぐ着いたな。」
「ライガの飛ぶスピードは、普通の馬車とかよりずっと早い…です。」
「そうだな。
迎えに来てくれてありがとな、2人とも。」
「はい…です。」
「ふん、まぁ久しぶりだしね。
出迎えなんかするのは今回だけだからね。」
「はいはい。」
なんとも彼等らしい返事に苦笑しつつ、手紙に書かれていた地図を頼りに師匠の部屋に向かった。
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