幸せの欠片

□テノヒラ
2ページ/5ページ

ティア:「ルーク。」
ルーク:「ーっ!
ティアか、料理終わったのか?」
料理を終えたのか、外したエプロンを片手にティアがこちらに歩いてきた。
少し体をずらしてスペースを作ると、ティアも俺の隣に腰掛け大きな紅葉の木に寄りかかった。
ティア:「せっかく作ったのに、呼ぼうと思ったら皆居ないんだもの。」
「どこに行ってしまったのかしら?」
と不満げなティアに大して、俺は逆に満足な気持ちだった。
こんな風に2人きり(正確にはミュウもいるが)で話すのは久しぶりで、隣に座ってるだけで嬉しい。
…なんて、ティア本人には絶対言えないけどな。
ルーク:「ま、そのうち帰ってくるだろ。」
ティア:「それもそうね。」
ルーク:「あぁ。」
そう言ったきり、会話が続かなくなった。
でも別に嫌な感じではなく、なんだか…穏やかな時間に優しく包まれている感じがした。
トンッ
ルーク:「ん…?」
しばらくして、ティアが急に寄りかかってきた。
不思議に思って隣に目をやれば、スヤスヤと寝息をたてている。
ルーク:「…ったく、こうしてりゃ年相応の可愛い女の子なのにな。」
そう呟きながら、飴色のサラサラの髪をそっと撫でてみる。
起きている時には意地でも触らせてくれないのに、全く無防備なもんだ。
ルーク:「ふぁ…。」
膝上で眠るミュウのぬくもりと、指先を流れる柔らかな髪の感触のせいか、俺も眠気に襲われて。
でも、せっかくのティアとの時間をただ眠って過ごすのわ惜しくて、投げ出されていたティアの手のひらに自分の手をそっと重ねた。
目が覚めたときも、隣に居てくれるのが彼女であったらいい。
そんな風に願いながら、俺も穏やかな夢の中に落ちていった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ