幸せの欠片

□白銀の夜に
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〜ルクティア〜
「ティーア、何してるんだ?」
窓辺にたたずんで外を眺めているティアを、後ろからそっと抱きしめる。
「ちょっ、ルーク!///」
照れてあたふたと逃げようとする小さな身体を少し強めに抱き締めれば、諦めたように抵抗をやめた。
「雪を見ていたのよ。
旅をしていた頃、ケテルブルグで初めて雪を見たときのことを思い出してしまって…。」
「あぁ、そういやそんな事もあったな。」
旅をしていた頃、ネフリーさんの計らいでケテルブルグに滞在した時。
そう言えば、ティアとナタリアとアニスが、こんな景色の中を恋人と歩きたいだの何だのと話していたのを聞いたことを思い出した。
「あの時は…、貴方とこんな風に雪を眺める日が来るなんて思わなかったわ。」
「ははっ、確かにな。
…なぁ、ティア。」
「何かしら?」
少し振り向き、上目遣いに見上げてくるティア。
その可愛い仕草に、少しだけイタズラ心が沸いた。
「あの旅の時…、ティアは誰と雪の中を歩きたいと思ってたんだ?」
「ーっ!?///」
少し声のトーンを落として囁くと、ティアは予想通り顔を真っ赤にした。
「…聞かないでよ、バカ…。」
「…ふーん、教えてくれないんだ。」
小さな声でお決まりのセリフを返してきたので、少しだけ拗ねたふりをしてみる。
「俺はティアと一緒に歩きたかったんだけどなぁ…。
ティアは違うんだ…。」
「ちっ、違っ…!」
「どうせあの頃は、俺の一方的な片思いだったしな…。」
「そっ、そんなことないわ!!
あっ!!///」
「ははっ、引っ掛かったな?」
「いっ、意地悪!///」
「なんだよ、せっかくのクリスマスなんだから、可愛い恋人をちょっとからかうくらい良いだろ?」
「からかい方が悪いわよ…///」
恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めるティアのマロンペーストの髪をそっと撫でる。
「…ルークのバカ。」
「何だよ、まだ拗ねてるのか?」
「…///」
「―…ティア?」
「…知らないわ。」
「…ったく、仕方ないな…。
じゃあほら、これで機嫌直せよ。」
ポケットから小箱を取り出し、トンっと頭の上に乗せてやると、ティアはその箱を手にとってきょとんとした。
「クリスマスプレゼントだよ。」
「…あっ、ありがとう///」
「次のクリスマスも、その次も…、ずっと一緒に居てくれよな。」
「えぇ…、ずっと見ているわ、貴方の事を…。」
白銀の雪の舞う街を眺めながら、約束のキスをそっと交わした。

"白銀の夜に約束を"
(ティア〜、いつまでプレゼント眺めてんだよ…ι)
(だって、ラッピングが可愛いから、開けるのがもったいなくて…。)
(開けてくれなきゃ買った意味ないじゃん…ι
(アニスに可愛いラッピングなんか頼むんじゃなかったな…。))
結局、プレゼントが開けられたのは翌日の事だったとか。
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