幸せの欠片

□例えばこんな非日常 1
2ページ/3ページ

※ちょっと長めです。

〜過去の自分は今日の敵!!?〜
「まさか、こんな物が完成してしまうとは…、やはり私は世界一の天才ですね。」
とある山奥の廃墟で、やたらと大掛かりな装置を見つめほくそ笑む眼鏡の男。
「これを使えば、またネビリム先生やジェイドと過ごしたあの頃を取り戻せます!…と言っても、やはり仮試験をしておきたいですね…。」
ふむ、としばらく考え込んで、男は椅子に飛び乗り空へと飛び立つ。
「実験台を取りに行きましょう♪」
さらりと恐ろしい独り言を残し、男は実験台と言う名の生け贄を求めて出掛けるのだった…。
>
>
>
>
>
>
一方その頃、白銀の町ケテルブルクではある少年たちが骨休めをしていた。
「あー楽しかったぁ!」
「そうですね、僕も楽しかったです。」
「迷路屋敷ってのも意外と悪くないよな。」
「まぁルーク、貴方は同じところをグルグル回ってしまってカンシャクを起こしていたではありませんか。」
「ほっ、ほっとけ!」
「ご主人様、僕はもう迷いすぎてグルグルですの〜…。」
「ミュウ、大丈夫?いらっしゃい、抱っこしてあげるわ。」
「ははは、まぁ、ルークとミュウは特に迷いまくってたもんなぁ。」
「なんだよガイ、お前まで笑うことねーだろ?」
「あははっ、悪い悪い!」
「やれやれ、皆さん若いですねぇ。私くらいの年になると、もう迷路なんてものは足腰が辛いので入りたくなくて。」
((((((真っ先に抜け出して一人で高みの見物してたくせによく言うよ…ι))))))
「さーてと、さっさと帰って夕飯食おうぜ。」
「それはいいけど、今日の買い出し当番は貴方でしょう?」
「あっ、いっけねー忘れてた!俺買い出ししてから帰るよ。行くぞミュウ!」
「はいですの!」
「買うものちゃんとわかってるのー?」
ティアのその問いに「大丈夫ー!」と答えながら、ルークの姿はあっという間に見えなくなった。
「では、我々は先に帰って待つとしますか。」
「そうですわね。」
「じゃあ、宿に…。」
「うわぁぁぁぁぁっ!!?」
「ごっ、ご主人様ーっ!!」
「「「「ーっ!!?」」」」
帰ろうとしたその瞬間、先ほどルークが曲がっていった角の向こうから悲鳴が聞こえてきた。
「いっ、今のはルークの声では…!?」
「何かあったんですわ!!」
「ルーク…!!」
「あっ、待てティア、迂闊に行ったら危ないぞ!」
駆け出したティアに続いて仲間たちも悲鳴がした方へ向かう。
「みっ、ミュウ、大丈夫!!?」
するとそこには、気を失ったミュウと破けたルークの白い上着が落ちていた。
「ルークが居ないぞ!!?」
「とにかく、ミュウを起こして事情を聞きましょう。」
皆が冷静に対処するなか、ティアだけはミュウを抱えたままその場に座り込んでいた。

(ルーク…どこへ行ってしまったの…?)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ