高校生

□無題
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藤枝さんの横顔を見ていると、先程までとは雰囲気が変わったように見えた

もちろん私の気の所為かも知れない

でも何となくこのまま家に行くのが躊躇われた



「中条 車を停めて」

「え?…どうしたんですか?」

「良いから停めて」

中条が先にあった路肩に車を停めた

私が車を降りると、中条も慌てたように車を降りる

私は中条には目もくれないで藤枝さんが座る車の左側のドアを開けた


「ここからは、散歩しながら歩いて行かない?」

藤枝さんの返事はなかったけど、車は降りた

これが良かったかはわからないけど、いつもは必ず返事をしてくれる藤枝さんが返事をしなかった事が、さっきまでとは藤枝さんの気持ちが変わっている事を私に教えたような気がした


「中条は帰って」

「そういう訳には」

「……」

「………わかりました」


渋々乗り込んだ中条が車を走らせて見えなくなると、藤枝さんは小さく息を吐いた
それから両手を上に上げて伸びをして体を捻る

かなり緊張してたんだろうか

……何に?

車を降りたは良いけどこのまま家に向かっていいものか…

「…取り敢えず、歩こっか…」

「そうだね…」

ひとまず返事をしてくれたから少し安心した

 
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