雨音、咲夜

□アイツの彼女達 夏樹
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今年は寒さが早く来た

もう直ぐ受験

でも私は大学までエスカレーター式の中学に通っているから問題ない
赤点さえ取らなければね




子供の頃
絵本を読んで貰うのが好きだった

お姫様は王子様と幸せに暮らしましたとさ
私にもいつか王子様が...
なんて漠然と思っていた

そして初恋
相手は女の子だった

「ねぇ...お姫様とお姫様では幸せには暮らせないの?」

母に尋ねた

「そうね...一生幸せ、と言うのは無理かも知れないわね お姫様と王子様じゃないと、夏樹みたいに可愛い子供も生まれないから」

今思えば、随分と優しい答え方だったと思う
偏見に満ちたこの世の中で、母の答えは私を傷付ける事はなかったから

そして中学生になって自覚した
男の子に恋をしない自分に

私には永遠に現れない王子様

それから絵本はクローゼットの奥の奥にしまった

 
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