死にたくない

□過去
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「あれ? 秋奈食べないね。どうしたよ」


お昼休み。


中々食が進まないわたしに友達の桜菜が話し掛けてきた


「うーん…今ね、ダイエット中で……」


食べない理由をダイエットにして「よし、今日はここまで!」と友達には心配をかけまいと元気良くそう言い、箸を置いた


「ダイエットォォ??あんた、ダメだよそれ以上痩せちゃ!いつか骨だけになっちゃうよ!?」


なんて失礼な。


「良いの、わたしはもっと痩せなきゃいけないんだもん」


本当はそんな事微塵も思ってない


寧ろ、太らなくてはいけない方だ


「あんたねェー…じゃあ見る?このわたしのプニプニのお腹!!もし良かったら触っても良いよ!」


言いながら桜菜は服を少しだけヒラヒラさせている


「破廉恥桜菜!!ここ食堂よ!?」


いくらなんでもこの食堂のしかもど真ん中で友達のお腹をプニプニするなんて出来やしない


「全くー! 秋奈は変なとこ真面目なんだから…」


「そんな事ないって、当たり前だよ。それより桜菜、食べ終わったの?先に片付けちゃうよ?」


何だか身体が怠かった


朝から何となく重い気はしたが、まさか風邪……


「桜菜、ごめん…わたし具合悪くて…帰るね」


流石に無理と判断したわたしは、午後の授業を受けずに帰る事にした


「ちょっとちょっと!大丈夫なの!?風邪でもひいたんじゃない?」


桜菜はいつも大袈裟だ。なにこれ構わずリアクションが大きい。


「んー、風邪かなー…でも寝てれば治るよ、大丈夫。ありがと。バイバイ」


でもわたしの事をこうやって心配してくれる、優しい子


「先生には言っておくからね!お大事にね!?」


「ありがとうー…うん」


さて…この怠さでどうやって帰るべきか……


「…う……」


そうこうしてる内にも具合は悪くなる一方で……


「病院…行った方が…良いのかな……」


歩いている内、次第に視界が悪くなってきた


どこを歩いているかも定かではない


「びょう…い、ん……どこ…」


真っ昼間からこんな千鳥足の、しかも女子大生が何をやってるんだかとは思うものの、身体がいう事を利かない


それにのしかかるように吐き気を催す


「…う……」


風邪ってこんなにつらかったっけ…?


病院…早く行かなくちゃ……


「…無……理…誰か………」


意識がなくなりそうになる


「……おい」


どこか遠くから低い声が聞こえる


「…胃………か?いや、だが念の為診察が必要だな」


…胃……?何を言ってるの………この人は…誰…?


「おい!おれはこいつを運ぶ!荷物を頼む!」


――プツン――


抱かれた安心からか、そこでわたしの意識は途絶えた
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