06/02の日記
21:38
歌わない夜
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部屋の光が漏れるベランダは
板の隙間が底なしにぼやけて
やたらと脆く見えるのだ
何もない隙間に
何もない自分を詰め込んで
感じもしない温もりに
「あったかいね」と声をかける
室外機から吹く風は
素肌に触れるには冷たい
小刻みに回る羽音に
大きく笑われた気がした
「きみの底無し沼は
今夜も元気そうだね」と
池の鯉が波紋を描いて
大きく跳ねる
「あなたの あなただけの願いは
一体どこに隠しているのよ」と
背中を照らす網戸越しの光は
ちかり、と腹をたてる
空では星一つ遊んでいなくて
つまらなくて
例えようもなく侘しくて
「わかってるさ」と
僕は泣くしかなかったのだ
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