リヴァエレ本

□クマイさんのコンビニ「チッ仕方ねえな」1 エレン総受け
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「男が突っ込まれて感じるのは3パターン。前立腺とピストン、拡張だ。全部に感じるやつもいれば、そうでない奴もいる。エレン、お前は何が好きだ?」
もふもふのクマのぬいぐるみが指さしのついた指示棒をふりふり回し、傍らのエレンを指した。
「お…俺はその、前立腺とピストンが…」
「こんな感じだ。今日はピストンについて語る」
かあっと赤くなって答えるのを遮り、スライドが映されたホワイトボードをぴしりと叩いた。
ベルトルトは手にした冊子を見て思った。
そうか、これはピストンと書かれていたのか。
残念な画力とミミズの這ったような文字のそれは、読み込んでこいよと事前に渡されたものだった。
がんばって解読を試みたが、皆目見当がつかなくて困っていたのだ。
ベルトルトはこっそりと、文字の上に『ピストン』、『エレンはピストンと前立腺が好き』と注訳をつけた。


ここは件のコンビニのバックヤード。
ただいま時刻は夜中の1時、男の子の抱き方講座の時間であった。
参加者は男女含め、ざっと見て10人ほど。
ムダに広めに作られたバックヤードは、その人数も軽く入れる仕様になっていた。
初参加のベルトルトは以前の失敗を糧に、なんだかんだで仲良くなったペトラさんから事前に情報を得ていた。
この講座は今回で3回目にあたり、撮影・お触りこそないもののあとは比較的自由らしい。
「第一回は入れなくても気持ちよくなれる方法で、擬似セックス。エレンくんがガラステーブルの上でバイブにまたがって戸渡りくにくにしてたんだけど、結局我慢できなくなっちゃって泣いちゃって。腰の動きすごいわ、おねだりすごいわでみんな堪らなくなっちゃってぶっかけちゃったのよ?
 第二回は挿入準備編で、泣いて嫌がるエレンくんをむりやり洗浄!その後バイブの大きさまで拡張…までが講座内容だったんだけど、やっぱり挿れてほしくなっちゃったみたいで。ぐにぐにすっごい動きするバイブぶち込まれてイっちゃったの〜!!」

伺ったときは想像して鼻血を出すかと思ったほどだ。
ペトラさんいわく、僕はウブっぽくて応援したくなるらしい。
絵を描くのはOKなのよね、と語ったペトラさんは、他の女性陣とともにスケブを持っての参戦だった。
ひらひらと振られる手にぺこりとお辞儀をして返す。
なんでも、毎回違うエレンの衣装にも要注目らしいのだが…今クマイさんのアシスタントとして側に控えているエレンはいたって普通の格好だ。
若干袖が長いくらいかな?と考えたところで、クマイさんがエレンに声をかけた。
「エレン、衣装の準備だ」
「っ!…はい…」
返事をしたエレンはエプロンをしゅるりと外し、履いていたジーンズに手をかけた。

「…っ!!??」
突然始まったストリップショーに、ベルトルトは目を剥くしかない。
え、え?と周りを見渡せば、同じように驚いている者とガン見を続ける者とに分かれていた。
するりと下ろされるジーンズには下着も一緒に絡まっていて、今下を覆うものは何もないことになる。
丈の長い白いワイシャツがその部分を隠していたが、エレンはそのボタンをも外し始めた。
決して恥じらいがないわけではなく、むしろ指先は震え、目元はすでに泣きそうになっている。
焦れるように一つ一つ外されていったのだが、クマイさんから早くしろと急かされて慌てたように残りのボタンを外した。
前をその手で隠すようにしながら、捲られていた袖口を伸ばす。
一回り以上大きなワイシャツをはだけたような格好に、誰かが彼シャツキタコレと呟いた。

そのままマットの置かれた場所に移動し、前を隠しながらぺたりと座る。
お尻がマットについたところで、エレンは小さく息を漏らした。
冷たかったのだろうか、ひどく艶めかしく聞こえて、さっきから心臓の音がうるさい。
クマイさんが鎖のついた黒い手枷をはめ、手に持っていたボタンを押すと、天井から延びた鎖がじゃらじゃらと上がっていき、両手を吊るされた形になった。
視線を避けるようにうなだれているのだが、細いうなじが露わになって卑猥さが増している。

…なんだろう、この背徳感…
どこのエロビですか?と聞きたくなるような光景だが、それにしっかりと興奮している自分がいた。
女性陣の方からざかざかと高速でペンを走らせる音がする。
なんとなく、そっちは見てはいけないような気がした。

準備が整ったところでスライドが切り替わり、再びクマイさんから解説が入った。
「ピストン、すなわち中を擦るわけだが、ふつうに突っ込んだんじゃ痛いだけで終わる。ナカを広げて、十分に濡らしておくとお互いの快感はずいぶん変わる」
準備を終えた状態はこうだ、と言うと、エレンがおずおずとこちらにお尻を向けた。
クマイさんがシャツの裾をめくれば、根元までバイブをずっぽりとくわえたお尻が露わになった。
唾を飲み込む音が、部屋に大きく響く。
クマイさんがそのバイブを引き抜こうと手をかけたところで、眼鏡をかけたボブカットの美人さんがさっと手を上げた。

「はい!先生!」
なんだ、と指示棒で美人さんを指す。
「暗くてよく見えないのですが、電気をつけていただいてもよろしいでしょうか。中の色を見てみたいのです」
えっ!それOKなの??
チャレンジャーだな…すげえ。
つーかあいつ初参加じゃねえのかよ、顔見たことねえぞ。
さわさわと辺りから声が漏れたが、クマイさんは怒った様子もないようだった。
「エレン、異論はないな」
「ぅ…く、……はい…っ」
吊るされた拳はぶるぶると震え、顔は決してこちらを向うとはせず。
異論ありありにも感じられたが、何かの弱みでも握られているのか。
エレンはクマイさんに対してのみ、常に従順だった。



明るくなった部屋で、肛門に仕込まれたバイブがずるずると引き抜かれる。
「ふ、…う…ンンッ」
目いっぱい広げられてふちの赤くなっていた肛門からバイブがすっかり抜き取られ、ひくひくと小さく震えながら穴が狭まっていく。
閉じきる前にクマイさんがそのお尻に乗っかり、両側からぐいと広げてみせた。
「ナカはこんな感じだな」
「…っ、クマイさん…っ」
ふり、と振られるお尻は誘うかのようで、すでに股間は痛いほど勃ち上がっていた。
ナカは赤みがかったピンクで、なんだか奥の方がうねうね動いている気がする。
それにとろりとした液が垂れていて、ものすごく卑猥だった。

お尻を突き出した姿勢でナカまで見られるのはよほど恥ずかしいのだろう、エレンは耳まで赤くなった顔を腕で隠し、時々詰まるような吐息を漏らしている。
「ほうほう、この色ならコピックの…」
「バカね、私なら〇番と〇番を組み合わせて…」
「PCなら○○ってとこね」
およそ似つかわしくないと思われる、どこか冷静な声が聞こえるのは気のせいだろう、たぶんきっとそうだ。

とろりとした液を指し、これが腸液だとクマイさんが語った。
「異物を長く入れていたり、突っ込まれるのに慣れていると出て潤滑剤の代わりになるが、ふつうは出るもんじゃねえ。ゼリーやローションで十分に慣らしてやることだな。
 たまに石鹸やら練乳やらいろいろ使うやつもいるが、ヒリヒリしたり後で下したりする。そいつのためを思うなら、ちゃんとした専用のやつを使え」
いいなてめえら、と凄まれているのにきゅんときてしまったのは僕だけじゃないはずだ。
「クマイさん…っ」と言葉を紡ぐ何人かの声がした。

こんな感じで相手への気遣いと優しさをにじませながら解説が進んでいく。
ペニスバンドが装着され、お尻の穴に入れる段になって、再び女性陣から手が上がった。
「…なんだ」
さっきより少し機嫌が悪いように感じたが、お構いなしに要望が上がる。
「できれば男性同士の絡みでの絵が欲しいんですけど、ポーズだけでいいのでお願いできませんか?」

…っ!!??
女性陣チャレンジャーすぎるだろおおおぁっ!!
これ運が良ければ対エレンで、悪ければ客同士って落ちだよな…
男性陣は皆喜んでいいのか危ぶんでいると、畳みかけるようにつけたされた。
「あ、お相手はもちろんエレンくんと、できればこの人で!」
指された先は自分だった。
「え、ええ…っ!??」
突然のご指名におろおろしていると、男性陣からはじっとりと、クマイさんからは射殺されそうな目でにらまれて竦みあがった。
たぶん無害そうに思われたのだろう、舌打ちのあと、仕方ねえなと返ってきた。
「…!俺は嫌です…っ」
とたんにエレンが反対の意を示したが、クマイさんの腹は決まったようだった。
「エレン。…別に俺はやめても構わねえが…それでお前がいいならな」
「…ひど…っ!…………くぅッ…」
拳をぎゅうと握りしめ俺を睨みつけると、けっこうな低音ボイスで凄まれた。
「一瞬でも触れてみろ、てめえのちんこを削いでやる…」


これでは役得なのか被害者なのかわからない。
気をつけます!と叫び、鎖で腕を吊るされながらお尻を突き出すエレンの背後に回った。
びくびくしながら膝をつき、触れないように近づく。
「あ、腰に手まわして!」
「そのまま腰振ってくれる?」
女性陣の無理難題に涙目になりながら、触らないように細心の注意を払ってがんばった。
「エレンくん、そのまま後ろ向いて。長身くんを見上げる感じで!」
なおも続く要求に、エレンは応じたようだった。
ちらりとそちらに視線を移し、真っ赤に染まった顔を悔しそうに歪めるのを見て腰にきてしまい、すぐに視線を手元に戻した。

すごく、ひどくしてやりたくなる顔だった。
「…は、…」
熱い息を吐き、衝動をどうにかやり過ごす。
明るい中で見下ろすエレンのお尻は形よく、お尻の穴は誘うようにひくついていた。
きれいなピンクのそれは、ここが排泄孔だなんて微塵も感じられない。
男を誘う、エロい性器だった。
「…あ……」
ぎこちなかった腰の動きは徐々に大きくなり、はたから見ればまるで本当にセックスをしているかのようになっていた。
エレンも俺の動きを見ているせいか、腰が揺らめいている、ように思う。
触れたい、挿れたい…
この穴に俺のをぶち込んで、かき回して、それで──

「…先生」
眼鏡の女性が再び手を挙げ、俺はその声にようやく我に返った。
たぶん今、すごく雄の顔をしている。
「──ハ…ッ」
荒い息をつきながら、エレンの腰に回していた手を額に当てた。
そのまま女性の方に視線を向けると、クマイさんの股間を指し、こう言った。
「『それ』なら、誰が挿れてもいいの?」



勃ちあがった陰茎を覆う服の上から、クマイさんから借りたペニスバンドを装着した。
エレンはまた俯いてしまって、その顔を見ることはできない。
触れてはいけない、というルールは続行中なので、ただただ腰を進めるばかりだ。
ぷちゅり、と小さく音を立て、そこは柔らかく飲み込んだ。

普段の徹底ぶりから、まさかこんなことまでさせてもらえるとは思ってもみなかった。
自分の陰茎ではないからナカの感触はわからないが、腰を押しつけた時の抵抗は感じる。
腰をゆするたび、陰茎の裏筋をぐりぐり擦られるのも気持ちいい。
入口の襞が小さくめくれるのも見えた。
エレンが押し出されるような声をこぼすのも聞こえる。
もどかしいのか自分で腰を揺らす様子を認め、俺は触りたいと声をかけた。

「…ざけんなっ」
ぬちゅ、くちゅ、と音を立てて腰を進めながら、言葉を重ねる。
「でもほら、このままだと奥まで突いてあげられないよ?」
こんな風に。
そう言って勢いよく腰を突き出せば、最奥とはいかずともいいところをえぐったようだった。
「ひあっ!」
かわいい声をあげて喉を逸らす。

この生意気な子をめちゃくちゃにしてやりたい。
セックス自体は初めてでもなかったが、自分にこんな一面があるとは考えたこともなかった。

俺は人目なんて気にならないくらい、この擬似セックスに没頭していた。
手首を戒める鎖をぎしりと掴み腰を折ると、触れるギリギリに密着して小刻みに腰を揺らした。
「あっあっあ、ああ…っ」
浅いが角度が変わってよくなったのか、ひっきりなしに声が漏れる。
「ははっ、…気持ちいいの?」
「奥…も、突けねえくせ…に、調子ッ、こいて…じゃねえッ」
生意気な口調に、思わず口の端が上がる。
さあどうやって苛めてあげよう。
新たな自分は、どこか心地よかった。

誰かの喉がごくりと鳴ったところで、ひどく落ち着いた声色が部屋に響いた。
「店長。提案があるのだが」
そう声をかけたのは、それまで後ろの方で静観していたリーマンだった。
「私なら、手を使わずに奥を突いてあげられるよ?」
どうかな?
にこりと笑いかけるリーマンを、クマイさんは顎で指す。
「…選手交代の時間だな」


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