エレリ本

□団地妻と間男 another エレリ♀
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住宅街の一角にある小さな公園。
家から目と鼻の先にあるそこは、いつからかその男の待ち合わせ場所になっていた。
日付が変わって早2時間。
吐息も白む寒空の下、今日も男はそこにいた。

「遅いですよリヴァイさん、待ちくたびれました」
現れた私を認めて口角を上げるその男は、かつて部下として恋人として共に戦場を駆け抜けた男だ。
今も、歪ではあるが部下として恋人として側にいる。
近づく私に伸ばされた手はひどく冷えていて、この場所でどれほど長く待たせたかを知る。
「絵恋ちゃんが寝つかなかった?
 それとも……旦那さんが離してくれませんでしたか?」
今日はクリスマスで、あなたの生まれた日ですからね。
そう言って微笑む男の目は決して笑ってはおらず、むしろ奥に宿した狂気が透けて見える。
私はいつもこの狂気をはらむ目に逆らえず、取られた手を振り払うこともできずにいる。
それは今生でこの男を探し出せなかった罪か、他の男になびいた罰か。
ただ生まれ変わるずっと前から、この獣のような金目が囚われているだけなのか。
ぞくぞくとした愉悦を感じて小さく喉を鳴らせば、嘲るように口元が歪められた。

手を引かれ向かった先は停めてある車ではなく公園内のトイレだった。
深夜で行き交う人がいないとはいえ、誰かに聞きとがめられる恐れもあるその場所に思わず足が止まる。
「ここは嫌だ」
「他の場所では、あなたを帰せる自信がありません」
伸びきった腕の先で視線が絡む。
「…っ車の中だっていいだろう?」
「確認したいことがあるので」
有無を言わせぬその瞳は、こちらの思惑などとうに気づいている。
結局個室へと誘われ、扉が閉まると同時に唇を奪われた。
決してきれいとは言えないその場所で、壁に押し付けられるようにして舌を絡め合う。
吐息まで奪われるような荒々しいキスは思考を鈍らせるのに十分なもので。
唇がお互いの熱で温もる頃には、私の服ははだけられ上も下も下着が露出していた。
「ん…んぅ……っはッ」
男の冷たい手が肌を這い、刺激で立ち上がる乳首に触れる。
「冷た…っ」
「すぐに熱くなりますよ」
ブラを押し上げられ掬うように持ち上げると、揉みしだきながら親指で乳首を弄られた。
冷たさに痺れたような快感を覚えぶるりと身震いすると、もう片方の乳首が熱い口内に含まれ、思わず高い声が出た。
声は思ったより大きく響き、口元を手で覆った。
男は反応に気を良くしたのか、煽るように執拗になぶる。
相反する温度と触れように足が震え始めた頃、それまで静かだったもう片方の手が陰部に回った。
冷たいままの手が下着の中に入り、濡れそぼったヴァギナに触れる。
「ひぅ…っ!」
「ははっ、もうぐずぐずじゃないですか」
ナカを数回指でかきまぜられ引き抜かれた後、ぐいと押しやられてタンクに手をついた。
「おいっ、何を…」
荒々しい所作を咎めて振り返れば、煌々と照らされた金目が鈍く光った。
「言ったでしょう?確認ですよ」
「あうっ!…っぅ…」
下着を下ろされ深々と指を突き入れられ、漏れ出る声を抑えるために指を噛んだ。
男はぐちゅぐちゅと無遠慮にそこをかき回し、その様をじっと眺めていた。
「ああ、やっぱり。さっきまでシてたんですね」
ここに来る前にトイレであらかた掻き出したつもりだったがやはり残っていたようで、出てきましたよ、と夫が注ぎ込んだ精液のついた手を眼前に晒された。
「…あ…」
再び股間に回された指でじゅぷじゅぷと弱い箇所を擦るように抜き差しされ、耳に熱い吐息を吹き込まれるようになじられる。
「俺が寒い中待ってた間、2人でやらしいことしてたんですね」
「絵恋ちゃんもまだ同じ部屋でしょう?よくやりますね」
「ああ、リヴァイさんはそっちの方が興奮する人でしたっけ」
腰の下の便器に、愛液とも精液ともつかないようなものがぽたぽたと落ちた。

「…ねえリヴァイさん、さっきから腰動いちゃってますよ」
もどかしい動きしかされなければ腰も揺れる。
「はぁ…あ、ア…っ」
「声も。…それで抑えてるつもりですか?」
ひそやかに告げられ、涙の滲む目を向ける。
欲をたたえた金目と間近でかち合い、そのまま深々と唇を重ねた。
喘ぎ声は飲み込まれ、夢中で舌を絡める。
長いキスの間ずっと指で抜き差しされるだけで決定的な快感に至れず啼いた。

「ははっ、まだ出てきますよ。どれだけ注がれてきたんですか?」
ようやく背後に回った男はなおも揶揄するばかりで、とうとう自分からねだった。
「お願…っ、はやく、ほし…」
男の腕をつかみナカをきゅうと締めつければ、金目が細く光る。
「…ねえリヴァイさん。サクションピストン説って、知ってます?男性器の張り出した部分は、膣に残った精液を掻き出すためにあるんですって。実際のところはどうか知りませんけど、ナカに残ってる旦那の精液掻き出して、俺のを注いであげましょうか?」
ガクガクと頷けば、待ち望んだ質量に根元まで犯されひときわ高い声が上がった。
「あは。声抑えないと、誰か来ちゃいますよ?」
軽くイってひくつくナカを、ことさらゆっくりと長いストロークでかき回された。
振り返れば、注挿を繰り返すその場所をじっと見ている。
きっと精液の残り具合を確かめているのだとそのまましばらく耐えていたが、いつまでたっても変わらない動きにしびれを切らした。
「おい…」
「名前を呼んでくれたら、めいっぱい突いてあげますよ」

かつてなじんだその男に体を暴かれることは快楽でしかなかったが、夫と子供のいる妻として一社会人としての立場や責任を放棄しての悦楽は自分を切り崩すことでもあった。
ましてや性行為中に娘の名前を呼ぶなど。
「………ムリ、だ」
「は、ひどいな。……本当にあの人は食えない」



娘の名づけ親は夫であるエルヴィンだった。
私が妊娠したとわかった時に、エレンを忘れられないと泣いたから。
生まれた子供に絵恋と名づけた。
茶を溶かしたような黒髪にアッシュブルーの瞳の子供。
『髪も目も、二人を足して割ったようなあの子に、どうして俺の名を?』
問い詰めた男に理由を告げれば、夫の名を知った時以上に荒れた。
断れば娘の通う幼稚園にばらまくと行為中の写真を見せられ、それ以降、ほとんど毎日のように呼びつけられては男の精を注がれている。
だがこいつの望む自分の子供はどれだけ注ぎ込んでもできない。
全てを知るエルヴィンの目の前で、毎朝ピルを飲まされているのだ。
きっとこいつが私をあきらめるか、私が閉経を迎えるまで。
また、そんなエルヴィンと別れるという選択肢もない。
娘はもう分別のつく年頃で、エルヴィンとの仲もよく、親の離婚という経験はさせたくなかった。

長らくくちゅくちゅと煽るように突き入れていたが、堪え切れなくなったのか、ちくしょうと悪態をつき、奥を突き上げ始めた。
その昔尽くすことに生きがいを見出すような恋人だった男は、私をなぶることに執心するようになったが根本は変わらず、つとめて快感を与えるように抱く。
覆いかぶさるような姿勢をとると、それまで放置されていた乳首と陰核をこね、感じる部分を突き上げた。
ゆるい刺激から快感を拾っていた体にはきつく、喘ぐ声が止まらなくなる。
徐々に上半身が崩れていき、立っていられなくなったところで腰を抱えられた。
「ほらリヴァイさん、ちゃんと立たないと」
「…ああっ!は、は、…むりぃっ」
「こんなふうに腰を突き出したりしたら、奥まで入っちゃいますよ」
ずぶ、と一層奥を暴かれ息が止まる。
「あ―――ッ!そこ、だめっ…イく、からぁ…っ」
制止がかなうはずもなく、最奥を突かれて悶える。
きゅうきゅう締めつけるナカに男が吐精する直前、私もイった。

ずるりと抜かれてひくつく穴に、冷たい何かが押し込まれて驚く。
「…っ!な…に?」
「誕生日プレゼント。俺の精液をこぼさないようにと…俺と離れてる時もリヴァイさんに気持ちよくなってもらえるように。それ、寝ているとき以外は不定期で振動するらしいですよ」
にこりと笑う男が言い終わるか終らないかのうちにナカでバイブが震え、膝から下の力が抜けて思わず縋りついた。
「ひ、あ、……あっ」
「ちょうどいいとこに当たるように、特注で作ってもらったんです。
 今日の終業後まで誰にも怪しまれなかったら、ご褒美あげますね」
「そ、な…むりいっ、あ…くぅ…っ」
イったばかりで敏感になっているとはいえ、こんな刺激に脈絡なく襲われれば、仕事どころか日常生活だってままならない。
むりだと泣く俺を見下ろし、それからリヴァイさん、と畳みかけた。
「旦那さんに没収されたりしたらお仕置きですから、気をつけてくださいね」
ひく、と喉が詰まり、最後の涙がぽたりと落ちる。
その目で見つめられれば、私に逆らえるはずがなかった。



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