リヴァエレ本

□団地妻と間男 リヴァエレ♀
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ある晴れた日の昼下がり、インターホンに呼ばれるまま何の気なしに扉を開けると、そこにはスーツを着た、かつて愛した男がいた。

「ようエレン、久しぶりだな」
「……へ、いちょう…」
呆然とする俺を尻目に、かつて兵長だった男は玄関に上がり込むと、持っていた数枚の紙束を俺の頭の上から散らした。
床に散らばる紙面に目を送れば、調査報告と書かれたその中に今の夫と子供の姿があった。
今隣にいる男によく似た、夫と子供の。

「今生では女か。ずいぶん幸せそうで結構なことだな」
紙面から目が離せず血の気の引いた顔で立ちすくむ俺の耳元で、俺をなじる言葉が次々に飛び交う。
「こいつを俺だと思ったか?こんなへらへら笑う男を?」
「てめえの目は節穴か?それとも俺の愛や躾が足りなかったか?」
「ご丁寧にガキの名前は利倍だってな。ガキの方に記憶が戻るとでも思ったか」
「とんだご都合主義だな。…なあエレンよ」

それまで疑いもしていなかった幸福が音を立てて崩れる。
いや違うな。違和感を見ないようにして過ごしてきたかりそめの幸福か。
それでも俺にとっては優しく、大切な日々だった。

「す…すみません…」
「謝るくらいなら償え」
そう言って俺の首の後ろに手をやりぐいと引き寄せられる。
キスされそうになり、とっさに手をつっぱった。

「兵長、すみません…!…夫を、愛しているんです。…帰ってください」
目をぐっと閉じて許しを請う。
姓も性別すら変わった俺を探し出すのは骨が折れたことだろう。
酷なことをしているとわかっていても、この生活を崩したくなかった。

兵長は小さく舌打ちすると、突っ張っていた俺の腕をとり、ずかずかと部屋の奥へ進んでいった。
「や…っ!兵長!」
取られた腕を外すことも、奥へ進まないように足をつっぱることも叶わず、俺はリビングのソファに投げ出される。
どさりと身を沈めた俺に覆いかぶさり、手をひとまとめにされた。
「は、離してください!」
身をよじり手を抜こうとするが、女の身ではびくともしない。
それでも愛する夫と子供と暮らすこの場所で、2人を裏切るようなことはしたくなかった。
間近で冷ややかに見下ろすアッシュグレイの瞳を負けじと睨む。
「兵長、離して。どいてください」
しばらく無言の攻防が続き、先に目を逸らしたのは兵長の方だった。

部屋の中をゆっくりと見渡し、もう俺は必要ないんだな、と呟く。
静かで抑揚のない声が胸に迫った。


だけれどそれは一瞬だった。
次に視線が戻された時にはぎらついた男の目をしていた。
「どうせあの男じゃぬるいセックスしかしてねえんだろ。
 俺に抱かれた後も同じことが言えるか試してやるよ」
そう言って俺の抵抗を難なくいなし、空いている方の手でスカートをたくし上げ下着を下ろすと、まだ潤いのない秘所に指を突き入れた。
「痛っ…!いやだ!」
ぐいぐいと押し入る遠慮のない動きに青くなる。

「ほんとうに、やめてください…優しくしてもらったんです、救い出してもらったんです。
 兵長が昔、俺にそうしてくれたように」
あの紙束の量ならばどこかに記載されているはずだ、俺の過去も。
だからあの人を悲しませたくないんです、どうにかやめてもらおうとそう訴えるが、注挿が激しくなるばかりでやむ気配もない。
非力な自分が嫌で涙がボロボロ零れた。

ぐちゅぐちゅと音を立て2本目の指も易々と飲み込むようになった頃、ある箇所を指が掠め
嬌声が漏れた。
身をよじってもよじっても逃げられずそこばかり責められ、時折親指で陰核を刺激される。
「い、やああああっ!ダメっ、そこやだああぁっっ」
いつの間にか3本に増やされていた指をぎゅうと締めつけ、体ががくがく揺れて頭が真っ白になった。
「あ、はあぁ…んっ!!」
今、手でイかされた、のか?
初めての感覚に呆然としていると、足もとでジッとファスナーを下ろす音がしてハッとなる。
手の拘束がなくなっていて体をずり上げて逃げようとしたが、腰を掴まれて阻まれた。
「いやっ!」
ひたりと合わされたと思ったら、イったばかりのそこに根元まで突き入れられた。
「ああああ…っ!いや、やだっぬいてぇっ」
慣らす間もなく開始される注挿に必死で抵抗を試みるが、体は残酷だ。

中を蹂躙するこの硬さを、質量を、突き上げられるその力強さを、俺の体が覚えていた。
女につくりかえられてもなお、ぴたりと合う体に驚く。
俺は浅ましくもそれに歓喜し、締めつける自分の体を持て余した。
「ガキ一人生んだと思えねえくらいきゅうきゅう絡みついてくるのはどういうわけだ。
 抜くとき締め付けがきつくなるが、なあエレン、これは意図してやってるのか?」
「は……ぁ」
俺の好きなあの声を耳元に注ぎ込まれ、耳元からもぞわぞわとした快感が走る。
上着もたくし上げられ、露わになった下着の内から乳房をわしづかみにされた。
ぐにぐにと揉まれ、親指で乳首をこねられればそのたびに甘く喘ぎ中を締めつけてしまう。
「もう…やめてくださ…」
「とろっとろの顔してよく言う」
そんなはずはない、でも自信はなかった。
手で顔を隠して夫の名を呼ぶ。
するとぐいと腕を取られて口づけられた。
「ん…っ!んむぅっ……は、ぅうっ」
喘ぐ息ごと奪われ、舌を絡めて下と同じように蹂躙される。
唇の弾力も、舌の厚さも、これが正解だと俺の体が言っていて泣けた。
かつてそうしたように舌を伸ばしそうになるのを必死に堪えた。

兵長の腰つきが早く激しくなり、絶頂が近いのを悟る。
「中は、嫌です…っへいちょう…っ」
「は、冗談だろっ…てめえのガキに兄弟作ってやるよ」
「いやっ!あ、あ、あ、やだああっ!」
兵長は奥を蹂躙するといっそう強く腰を打ちつけた。
「孕め…っ!」
びゅるびゅると中に大量の精液が流し込まれたのがわかる。

優しい夫を裏切って不貞を働いたという事実と、中に出されたことに愕然とする。
その俺をあざ笑うかのように、すぐ律動が再開された。
突き入れられる楔は徐々に体積を増し、俺の中で硬く育っていく。
「もう…これ以上は……っほんとに妊娠しちゃう…っ」
小さく震えながら泣き続ける俺をぎゅうと抱きしめ、引き絞るような声で告げられる。
「おまえが本当に嫌なら、後でピルでも何でも飲めばいい。
 だがもしこのことで旦那とこじれるようなら、今いるガキごと俺がもらってやるから
 ……俺のそばにいてくれ」

新たな涙が零れただけで、返事はできなかった。
そのうち再び揺さぶられ始め、俺はただ小さく喘ぐだけになっていた。

どのくらい経っただろうか、何度目かに体位が変えられ視線が移動した際に、見慣れた四角が目についた。
窓に置かれた写真立ての中で笑う、3人の姿に手を伸ばす。
その上から握りこむように手を重ねられた。
俺はその手を握り返すことはできず、かすれた声でようやく返した。
「俺を、愛、して…いるなら…」

「クソが…っ」
絞り出すようなつぶやきとともに背中に落とされた水滴が、汗なのか涙なのかはわからなかった。



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