ギフト置き場

□黒猫様の言う通り!
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.TheWorldのジィンさまからステキ小説をいただきました!!^^///
アイコンたちをもとに書いていただいた最高にきゅんきゅんするお品です〜!
人間には見えない所で猫と犬はお話ができるんだよ!というファンタジー
ケモミミ化は人間にはばれてはいけない
ご主人様は、読んでるあなたです的なポジションとのことです…っ><
しあわせっ!ありがとうございますありがとうございますっ><。
・・・・・・・・・・・


にゃーにゃー
なーう

とある町、とある草むら。
たんぽぽの花が揺れる季節、たびたび見かける猫たちの集会。

『お母さんみて!猫がいっぱいいる!』

子どもが車の窓を開けると、もぞもぞ、仔犬が顔を出した。

『にゃんちゃん、こんにちはー!』

…一匹の猫が振り返る。



【黒猫様の言う通り!】



この町に住んでいて、知らないことなどなかった。
きっと人間よりも分かっている。
水曜日は商店街の洋食屋が休みだから、火曜日はおいしいご飯が食べられる。
明日は川の近くのばーさん家に行く日だ。
息子が郵便屋さんで働いてる。
こないだ女の孫が生まれた。
おととい、ひったくり事件の犯人も見た。
どこに住んでるかだって知っている。

「リヴァイさんっ!二丁目の公園の近くに、誰か引っ越してきました!」

何かあればすぐに報告が入る。
ネットワークは完璧だ。
家族で引っ越してきたらしく、子どもは小学生らしい。
二丁目は小学校の近くだからな。

「しょーがない、見に行ってくる」
「一緒にいきますか!?」
「…一人でいい」

大所帯で行くと目立つし…お前ら、おれと違ってすぐ轢かれるからな…。

* * *

『えれーん!』

きゃんきゃんっ

『公園行ってみようよ!』

仔犬か…。
なんだろう、薄茶色い犬だ。
(まあ、犬みたいな尻尾ぶんぶん振るやつなんか…どうでもいいけど)

「にしても小さいな…子どもも犬っころも」

子どもはまだ小さかった。
今度、一年生になるのだろうか。
犬は赤い首輪をして、何が楽しいんだか公園を走り回っていた。
よっぽどネズミとるとか、鳩捕まえるとかの方が有意義で楽しいと思うが。
(ま、猫みたくスマートにはなれまい)

「ちょっとご挨拶してやるか…」

公園から帰ってきた犬に、直々に挨拶に行ってやることにした。
まあ、今日は天気もいいからな。
特別だ。

「よお、犬っころ」
「!!だっ、だれっ!?」
「おれは、この町の…」
「だれ!?だれだれ!?」
「猫の…」
「だれだれだれだれ!?だれーーー!?」
「うるせぇッ!」

犬小屋から飛び出してきて尻尾を振りながら吠えまくる犬に、威嚇して牽制してやった。
人間が見ていない時ならば、こうして人間のように話もできる。
尻尾と耳だけが残ってしまうのが問題だが。

「ご、ごめんなさい…」
「…おれはリヴァイだ。この町を治めてる」
「…えれんです…。りばいは偉いの?」
「リヴァイさんと呼べ。…この町でいちばん偉い」
「それってご主人様より偉い?」
「…この低能が!」

もう一度威嚇してやったら、尻尾がくるんと巻いた。
よしよし、偉いのが分かったか。

「ごめんなさい、りばいさん…」
「よし、お前もこの町に住むなら、おれの傘下に入れよ」
「さんか?うん、いいよ!でも、それっておいしい?」
「おいしくない」

こいつ、アホ犬なのか…?
仔犬にしても度が過ぎるだろ。

「それよりりばいさん!何してあそぶ!?」
「…遊ばない。おれは、お前より偉いから」
「なんで?ご主人様より偉いんでしょ?ご主人様はいつも遊んでくれるよ?」
「それはご主人様がアホなんだ。おれはアホじゃないから遊ばない」
「そうなの?じゃあ、何するの?」

はぁ…話が通じない…。

「お前は、おれを敬え。で、おれはお前を舎弟にする」
「しゃてい?」

これは先が長いな…。
舎弟も分かんないのか、こいつ、アホだな!

『えれーん!』
「あ、ご主人様呼んでる!」

これだから飼い犬は…。
仕方がない、退散するか…。

『えれん、おやつだよ!』
「りばいさん、おやつだって…あれ、いない…」

あの位の年の子どもは面倒だ…。

* * *

「リヴァイさんッ!ちわっす!」
「あっ、リヴァイさんッ!しゃっす!」

そうそう、これが舎弟ってもんだ。
なのに、なぜだ。
毎日あの手この手で教えてやっているのに…!

「ね、りばいさん!今日はお友達いっぱいだね!」
「友達じゃねえ、舎弟だ」
「しゃてい?」
「お前、なるって言っただろ」
「うん、言った」
「だから、お前もそうしろ」
「なんで?」
「なんで…って、そういうもんだろ」
「なんで?」

ッめんどくせぇええ…!!!!

「り、リヴァイさん…こいつ、アホですね」
「シメときますか?」
「…いや、いい…もう放っておこう」

こいつのアホは治らない気がする。

「エレン、お前、何犬だ?」
「…まめしば!」
「「「…豆柴…」」」

すっげぇ弱そう…。
で、なんでニコニコしてんだよ…。

「えへへ、りばいさんは?何ねこ?」
「…ロシアンブルーだ」
「…知らない…」
「お前のそのおつむじゃ無理だろうな」
「しゃていさんは?何ねこ?」
「シャム猫だ。リヴァイさんの右腕だぞ!」
「おれはヒマラヤン…って言って分かるのか、お前」
「じゃあ、ヒマラヤさんは、左腕?でもりばいさん両方ついてるよ?」
「…リヴァイさん、おれ、もう疲れました…」
「おれもです、リヴァイさん…」

残念だな、おれもだ。

「もうすぐご飯なんだっ!」
「あ、おれたちもそろそろ帰ります!」
「…りばいさんは?」
「…月が出てからだ」
「ふぅん…」

舎弟たちは家猫だから、飼い主が飯を用意している時間なのだろう。
おれは自由を愛する野良猫だからな。
今日はフレンチで魚のソテーでも食べるか…。

『エレーン』
「あ、ご飯だ!」

とんっ、とジャンプして、塀の上から様子を眺める。

『エレン、ご飯…あれ、猫がいる!』

子どもがおれの存在に気付いたらしい。
買い物に出かけるのか、母親が出てきた。

『あら、本当…ロシアンブルーじゃない』
『かわいいね!』

ちがう、美しいと言え。

『綺麗ねぇ…でも首輪してないみたい』
『エレンの友達かな?』

ちがう、エレンは舎弟だ。

『ねえ、エレン伏せて待ってるわよ…?』
『あ、ごめんねエレン』
『ほら、行くわよ!』
『エレン、行ってくるねー』

車に乗り込む子どもを見送るエレン。
お前、忠犬なのか?
それとも…

「あれッ!?あー!!」

カラスがいた。
横取りされるほど間抜けなエレンも犬としてどうかと思うが。

「それ、おれのだぞッ!」

カラスの方が頭がいいらしい。
既にエレンの手の届かない場所まで茶わんを引きずり、自分だけで食べるつもりらしい。
ふんふん頑張って手を伸ばしているが、掠りもしない。
やっぱあいつアホだ。

「おい、カラスよ」

ぴょん、と飛び降りて、爪を出して右腕を一振り。

「チッ、逃げられた…」
「りばいさん!ありがと!」
「お前、犬なんだから自分で何とかしろよ」
「…うぅ…、」

エレンの茶わんを、ちょん、と押して返してやった。

* * *

『お、きたかー、クロ』

日もとっぷり暮れて、フレンチで魚をいただく。
ここのフレンチでは、クロと呼ばれる。
この町では有名な猫だが、特別にすきなように呼ばせてやっている。
上手い魚をくれるからな。

「にゃぁう」(いつもの)
『あいよ』

出てきたのは魚のクレープ包み焼。

「んな゛あぁあうッ!」(これじゃねえッ!)
『なんだよ、しょーがないな…ほら』

出てきたのはセルフィーユ…。

「んに゛ゃああぁあああ゛ッ!!!!」(草なんかいらねえッ!)
『えー、困ったな…』
『あー、そいつバターすきだよ』
「なーう!」(そう、バターを寄越せ!)
『しょーがねーな、太るぞお前』
「にゃおぅ!」(なんだと!?)
『はいどーぞ』

バターソースを添えて貰い、おいしく戴くことにする。
…うまい。

『お前、太ったら不細工そう』
「・・・、」(明日は粗食だから太らん)
『ま、毛並いいけど』

そりゃそうだ。
ちゃんと考えて食べてるからな。

『じゃあな、また来いよ!』

綺麗にたいらげた皿を返す。
お腹もいっぱいになったことだし、今日はもう帰るかな…。

「あ、リヴァイさんだ!こんばんはー!」
「…久しぶりだな、子供は元気か」
「はい、お陰様で!それに、隣町の奴も来なくなりましたし…」
「そうか、」

この町にいれば誰もがおれに頭を下げる。
無法地帯だったこの町を、隣町の勢力から守ってやったんだから、当然だ。
今は毛で見えなくなったが、傷もたくさんある。

「最近、犬に構ってるとか」
「…誰がそんなことを?」
「え、噂でみんな知ってますよ…?」

エレンのアホ野郎に付き合ってたらいらん噂が立ってしまったということか。
もうちょっと賢い犬ならよかったのに…。
そうすれば、少しは役に立ったかもしれないが…。

「気にするな、ただの噂だ」

まったく、仕様の無い話だ。
今日は天気もいいから、西の家に帰ることにしよう。
あそこはクッションがあって、風が気持ちいい。
気ままな野良暮らし。
飼い主なんて、もういらない。

* * *

数か月して、エレンは仔犬のまるまるとした体ではなくなってきてきた。
相変わらず小さいが。

「今日はエレンいないのか…」

もう日課になりつつある(すぐカラスに横取りされるから)が、エレンの家に来たら、庭にはチェーンだけが残っていた。

『うえぇ…』

あれは、エレンちの子ども…。
(※子どもんちのエレンです)

『おかーさぁん、エレンがいなくなっちゃったあぁぁ…』

なんだと?
この町でおれの知らないことが起きて良いわけがない。

『スーパーでちゃんと繋がなかったの!?』
『うえぇえぇぇ…』

スーパーに行ったのか…。
仕方がない、探してやるか…。

「リヴァイさん!」
「…どうした」
「エレン、公園にいましたよ!」

来たのは例のシャム猫。
やはり、情報網は完璧だった。
すぐに公園に向かう。

「エレン!」
「あ、りばいさん!」
「何してんだ、ご主人様が心配してたぞ」
「え?でもシャムさんが…」

何言ってんだ、呼びに来た本人だぞ…?

「りばいさん…!」
「あ?」

シャムが率いてきたのか、ぞろぞろと他の猫たちが出てくる。
…嵌められたか、

「…おれ、リヴァイさんのこと尊敬してたんすよ」
「だから何だ」
「隣町の犬共の勢力だって、リヴァイさんがいるからこの町には手出しできないし」
「・・・、」
「でもッ、その犬っころのせいで…リヴァイさんおかしくなりましたよ!」

囲まれた…。
まあ、エレンが近くにいないのが幸いか。
足手まといがいなくて助かる。

「だから、おれが代わってあげますよ、その頂点…!」
「!!」
「…りばいさんッ!」

いくつもの光る瞳が、飛び上がった。

* * *

きゅぅん、きゅぅん

『ちょっと、エレンの声じゃない?』
『うぇぐ…っ、エレン…?』

きゅーん、くーん

『エレンだ…っ!帰ってきた…!』

エレンがご主人様を呼んでいる声。
いい、助けなんかいらない。
お前もおれを連れていくほどデカくないだろ…。
放っておけ、野良猫なんだから。

『あッ!おかーさん!猫がいる!』
『ねこ?』
『怪我してるー!』

薄らぐ意識の中、小さな子どもの足が見える。
喧嘩は勝ったけど…傷だらけだったのは確かだ。
背中が痛い。

『あら、この間のロシアンブルー』
『病院連れてってあげようよ!』
『…そうねぇ…』

きゅぅん、きゅぅん

『エレンが連れて来たんだよ!』
『…しょーがないわねぇ…』

しょーがなくない!
エレンが鳴いた。

* * *

「・・・、」

退院したと同時に、エレンの家に連行された。
出血は多かったが、傷は深くなかったようだ。

「青が似合うね、りばいさん」
「おれは飼い猫じゃねぇ」
「え、でもご主人様飼ってるつもりみたいだよ?」

喜ぶ母親は、どうやら猫派だったらしい。
目が覚めたら青い首輪が嵌められていた。
その衝撃をどう伝えてくれようか。

「よかったね、りばいさん」
「なにがだ」
「だって、これでもう一人で寝なくていいでしょ?」
「別におれは一人でも…」
「?おれがよかったな、って思うんだよ?」
「・・・、」

エレンはにこにこしていた。
やはりアホなのか。

「うれしいな、りばいさんと一緒で」
「・・・、お前、あんまりデカくなるなよ」
「…?うん」

図体のデカいヘタレ犬なんてごめんだ。
まあ、これだけ面倒見てやれば情も湧く。
アホだが、可愛いところもある。

「お前と一緒は疲れるだろうな…、」

でもまあ、まんざら、悪くない日々を送れそうだ。

Fin...


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