企画小説置き場

□生意気リヴァイくんに現代怖えと思わせる話。
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肌寒さに身震いし、その拍子に目が覚めた。
見覚えのない天井が視界に映る。
「ようやく目が覚めたね。待ちくたびれたよ」
ぼんやりとした頭で声の方を見やると、そこにはにやついた気味の悪い男たちがいた。
シーツの上に転がされた俺は、裸に剥かれ手足を縛られている。
およそ生活臭のない、たぶん、ヤるためだけの部屋。
…しくじった。

「寝てる間に突っ込んでもよかったんだけど、それじゃ楽しくないからね。起きるまでみんな待ってたんだよ?」
一人の男が枕元に立った。
覗き込むようにして声をかけてくるそいつの顔に唾を吐く。
頬にかかったそれを指で拭いべろりと舐めると「ご褒美をどうも」と薄く笑った。
「誰だてめえら」
「全国から集まったリヴァイくんのファンだよ」
これに見覚えはないか、と見せられたケータイ画面から、聞き覚えのある曲が流れる。
秋の体育祭で披露したダンスのやつだった。
「保護者の誰かが撮影したものが、動画サイトにあがっててね。あまりのキミの色っぽさに、話題になってたんだよね」
この流し目とか最高だよね。
腰のうねり具合とか、小学生とは思えない。
興奮したように口々に囃す男たちはいずれも下卑た笑いを浮かべていた。

そいつは父兄の席にいるエレンに向けてよこしたものだ。
てめえらにじゃねえ。

脳裏に、その際のエレンの言葉がよぎる。
『人前でそういうしぐさは見せちゃだめです。よからぬ大人はいっぱいいるんですから』
まだエレンの気を引くのに必死で、担任とあれこれ企ててた頃だ。
結局叱られただけで、これと言って何の成果も得られなかった代物。
自分の中でただの過去として処理されていたものが、こんなところで悪い方に転じるとはな。
舌打ちし、どうやって切り抜けたもんかと腕と足の拘束を確かめる。
腕は金属のベッド柵にくくりつけられ、肘が上がる程度。
足はそれぞれ太腿と足首をひとまとめにされているから、膝蹴りくらいならかませられるだろう。
ただこの人数…ざっと見て6人。
一矢報いたところで逃げ出せなければ逆にひどくされるだけでメリットはない。
この体躯でどこまでやれるかは疑問だが、エレンに抱かれたこの体を易々とくれてやるつもりはなかった。
元ごろつき舐めんなとガンを飛ばし、殺気をみなぎらせる。

奴らは一瞬ヒヤリとした様子だったが、すぐに愉悦をにじませた表情に変わる。
「本当に、いいね…」
俺の体と奴らの下種な嗜好では、必死に威嚇する子猫のようにしか映らなかったか。
胸糞悪くて吐き気がした。

やつらはおもむろに取り出したマスクを身に着けると、たぶん変声機も兼ねているのだろう、くぐもった毛色の異なる声で語り始めた。
「ちなみにこのパーティーに参加しているのは俺たちだけじゃないんだ」
「リヴァイくんは知らないだろうけれど、リアルタイムで動画を配信するサイトもあってね。みんな画面の向こうで君の痴態を楽しみにしているんだよ」
「今日のために、特別な機材も用意したんだ」
そう言って見せられたのは、PCにつなげられたゴツいテレビカメラだった。
すでに撮影が始まっているらしく、PC画面には睨みつける俺がアップで映し出されている。
「値の張る代物だからね。もし壊したりなんかしたら、さすがに悲しい。みんなも残念がるだろうしね。
 その時は使おうと、ヤバ目のお薬も用意したよ。ぶっ飛んで、この先コレなしではいられなくなるやつ」
使われたくなかったらおとなしくしてようね、そう言って目を細める。
「……っクソ野郎」

キモイ男たちとカメラの無機質な視線の中、俺の腹の上にどろりとしたローションが垂らされる。
「ひどくしてもいいんだけど、きめ細やかな肌に傷をつけたくないからね」
2人の男が俺の上下に回り、一人は上半身を、一人は下半身を中心に弄り始める。
温感仕様なのか、最初に冷たいと感じたローションは塗り拡げられるうちにじくじくと熱を持ち始めた。
汚い手で撫でまわされる感覚に総毛立つ。
「…ッきもちわりい…」
「ほんとうに?みんな知ってるよ、リヴァイくんがどんなに淫乱な子か。自宅で実の兄と、毎晩何にふけっているのか」
映像が、お兄さんたちの目に触れないといいね。
こそりと耳打ちされる内容に頭が沸騰した。
「クソがっ!」
そいつの顔を肘で打ち、足もとにいた男の腹を膝で蹴り上げる。
そのままカメラに膝を回そうとして、リーチが足りず奥歯をかんだ。

一発頬を張られ、両足を蛙のように広げた状態で押さえつけられる。
「…次はないよ?」
そう言って薬液の詰まった注射器の先端を俺の目に向けてきやがった。
臆せず鋭い視線で返せば、カメラがその目を映す。
今どこを映されているのか知りたくもなかったが、顎を取られてPC画面の方を向かされる。
カメラはそのまま舐めるように肢体を画面におさめながら降りて行った。

乳首をこねくり回されようが、ちんこを弄られようが、吐き気がこみ上げるだけで気持ちのいいものじゃない。
男たちの視線がそっちに集中しているうちに、俺は欠けさせた爪で腕を阻むロープを削った。

ぬるぬるとした指がケツの穴のあたりを何度も往復する。
画面にはひくつくケツの穴が大写しになり、冷やかすような下卑た声が二重に響いた。
「すごいね…毎晩やってるだけあって、ここはもう期待してるみたいだよ」
「その割にきれいだね…おしりも穴も本当にかわいい」
マジで気色の悪い奴らだ。
俺は吐き気を堪えながら、指先に集中していた。
男の指がナカに挿入され、ぬとぬとと抜き差しされる。
声など誰が出してやるかと歯を食いしばっていたが、心得た指が前立腺を刺激して小さくはねた。
「…っ」
とたんに嬉しそうな声が沸き起こり、カメラがこちらに向けられる。
そいつをこっちに向けるんじゃねえ。
削れ始めたロープに意識がいかないように腕をばたつかせ、膝に力を入れると、ケツが締まったのか再び下方に戻っていった。
生理的な快感を煽るように弄られ、少しずつ広げられていく。
たぶんカメラの向こうのやつらの焦らしも兼ねているんだろう。
気持ち悪いことこの上ないが、それは俺にとって好都合だった。


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