私を酔わせて

□再会
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家具などは引越し業者に任せてあるので

ハンドバッグ一つの軽装備で街を歩く

膝下丈のワンピースと黒く長い髪を結ぶリボンは

共に落ち着いた紺色で合わせた

私はあまり派手な服は好まない

どうしても制服のスカートも長くなりがちだし

周りから見ると野暮ったく見えることも多々……

いや、完全に浮いていると思う

私服が落ち着きすぎている、と

私の休日を知る数少ないかつての友人にも

何度も言われた……が、直す気はさらさらない

まだ高校生なのに、成人済みだと勘違いされることも

ある意味仕方が無いのかもしれない……

こう色々考えているのも、

只今絶賛ナンパにされていて

現実逃避しながら必死に無視しているのである

対人恐怖症の私にナンパは相当な精神攻撃だ

頑張って真顔を貫いて無視し続けているのだから

早々お引き取り願いたいのだが、何故か彼らは

引き下がるどころかグイグイ来ていらっしゃる

完全に脈がないと何故わからないのか

私の態度が余程気に入らないらしく、

遂に腕まで捕まれ、無理矢理どこかに

連行されかけそうになる

渦巻く恐怖心が更に私の頭の中を支配する

冷静であろうと自制するも、怖いという

本能的な感覚に抵抗することもできない

こんなことになるなら、この街に来なければ良かった

早くも自分の決断を後悔しかけたその時

響いた言葉に真っ白だった私の頭は覚醒した
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