私を酔わせて
□発症
1ページ/1ページ
新たな友人との会話で肩の力が抜けたその時だった
彼が私達の席まで来たのは
「これ、サービスです。落ち着きましたか?」
テーブルの上に乗せられたのはサンドイッチ
わあ、と毛利さん達から歓声が上がる
「アヤメさん、安室さんの作ったサンドイッチ、すごく美味しいんですよ!」
『そう、なんですか……』
男性に見られている、と意識するだけで
緊張していつも以上に上手く話せなくなってしまう
心拍数が上がり、顔が熱くなる
『あ、えっと……ありがとう、ございます……』
ぎゅっとスカートを握った手に汗が滲む
助けてくれた人に、顔を合わせての会話さえできない
情けなさに涙まで浮かんできそうだ
「まあ、あんなことがあった後ですから、無理もないでしょう
僕の事は気にしないで、ゆっくり楽しんで下さい」
『ごめんな、さい……』
そんな私に優しく声をかけると、彼は去っていった
離れていく気配に望んでもいないのに
安堵の息を吐いてしまう
私はこんな自分が嫌でたまらない