鳥籠の闇、竜の鍵

□いよいよ、一次試験
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私の予感は的中していた。

あの試験官、サトツさんに着いて行くこと…

それが、一次試験の内容らしい。

二次試験会場までらしいけど、詳しい距離も聞かされてないっていうのに…!



「ねぇ」

走り始めてすぐ、声が聞こえた。

「?」

横を見れば…そこにはスケボーに乗った銀髪猫っ毛の少年。


わぁ、若い子いたんだね!

なんとなく親近感。


「あんたさ、さっきのピエロメイクのヤツと戦ったってマジ?」

なっ、初対面であんたって。

まぁそれはいいとして…ピエロメイクといえばヒソカさんだよね。


「ん〜…戦ったというか、彼が家に侵入してきたというか…いきなり襲われたというか」

「うへぇ、よく生きてたなァ」

あはは、それは私も思う…

それよりこの子、さっきの会話聞いてたんだね……。


「名前」

「え?」

「名前、なんていうの?」

「あ、私はマナ。あなたは?」

「オレはキルア」

キルア君かぁ、ちょっと生意気だけど可愛いなあ。


「見た感じそんなに強そうじゃないけどなー、マナって」


…前言撤回。

ちょっとじゃなくて、かなり生意気かも。

可愛いのには変わりないけどね。


「あはは……ところで、キルア君って歳いくつなの?」

「あ、キルアでいいよ。歳は12」

「へぇ、12歳でハンター試験かぁ…!すごいなぁ」

「大したことないよ」


走りながらそんな会話を繰り広げていたが、やがてキルアがスピードを上げる。


「じゃ、オレ先に行くから。まぁ頑張れよー」

「うん、キルアもね」

って、あの様子じゃ心配いらないみたいだけど。

軽く手を振って送り出すと、気恥ずかしいのか小さくだけど振り返してくれた。

…やっぱ可愛い。



しばらくキルアを眺めていたら、遠くの方でスーツの男性と話し始めたみたい。

…あ!もう1人、キルアと同じくらいの子がいる!

それに…私と同じくらいの人もいる、けど……
女の子、かな…いや男の子?


…機会があったら話してみたいな。

どっちにしろ、今ペースを上げたら後で大変そうだし…

大人しくしてよう。









…どのくらい走っただろうか。

4時間…いや、5時間?


私は割と後ろの方を走っているけど、未だ脱落者を見かけない。

やっぱ、並大抵の人たちじゃないんだろうな…。


繰り返すようだけど、私も血筋のおかげか元々運動には自信はあるし…
先生との特訓でかなり体力も上がったと思う。

でもやっぱ、これは結構しんどいなぁ…!



「……!」

誰だろう。
スピードが落ちて今にも止まりそう…

…あれはもしかして、さっきのスーツの……


あ…止まっちゃった!

大丈夫かな…キルアと接触あっただけになんとなく気になる。


「…あのっ!大丈夫でs「絶対ハンターになったるんじゃーーー!!くそったらァ〜〜〜!!」

びっ…くりしたぁ…!!


私が横を通りかかろうとした瞬間、大声を上げて再び走り始めたのだ。


あ、スーツケース置いてっちゃってるけど……

「わ…!?」

今度は、釣り針が私の横を通り過ぎる。

見事スーツケースを釣り上げ、釣竿の持ち主の元へ……


あっやっぱり。

そこにはさっきスーツの男性と一緒にいた男の子…

…しかもその子と話してる人、あれはもしや…


「キルア…!」

この人たちと一緒にいたんだ…

「お?マナじゃん!」

スケボーを抱えてちゃんと走ってる。

でも、息が上がった様子もない。


「す、すごいなぁキルアは…私、結構きついよ?」

「だらしねぇなぁ、でもまぁここまで残ってるならそこそこなんじゃねーの?」

そこそこどころじゃないよ、これでもかなり頑張ってるよ私。



「…キルア、このお姉さんは?」

釣竿の持ち主、ツンツン頭の男の子…
ってこの子も息上がってないよ!?

「あぁ、マナって名前で…っつってもオレもさっき会ったばっかだけど」

「よ、よろしく…!」

すごい少年たちだなぁ…。


「そっか、オレはゴン!よろしくねお姉さんっ」

にっこり笑って自己紹介してくれる。

いい子そうだな…何というか、素直そう。

「あっ、私のことはマナって呼んで。私も、ゴンって呼んでもいい…?」

お姉さん、って嬉しいけど照れ臭いしね。

キルアも呼び捨てだし。

そう言うと、彼はもちろん!と満面の笑みを浮かべた。



…続いて顔を出したのは金髪で独特な服装の人。
私と同じくらいの年齢の…性別不明なお方だ。

「キルアの知り合いか。私はクラピカだ。それからこっちの変人がレオリオ」

「おうおう、随分な紹介だなクラピカさんよォ…!?」

そう言いながら手を挙げて挨拶してくれるスーツの男性。

さっきは危なかったみたいだけど…まだまだ大丈夫そう。


「マナといいます。よろしくお願いします、クラピカさん、レオリオさん…!」

「あぁ。よろしく、マナ。それと、別に堅苦しく話す必要はないよ…呼び捨てでいい。勿論敬語もな」

あ、そっか。そういえば歳近いんだった。

クラピカは大人びてるからつい…

「そーだぜ…!歳だって近いだろ、俺らだって10代なんだしよっ」


「…えっ!レオリオさんっ…じゃなかったレオリオも10代!?」

少し間を置いて驚く私。

だって…!
本当に申し訳ないけど、同年代にはとても見えなかったんだもん…!


対して彼は「このやろぉぉぉ」なんて言いながらも、
突っかかる体力が余っていないのか必死に走り続けている。


…無駄な体力を使わせてしまった…


……色々な意味でごめんよ、レオリオ……。
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