鳥籠の闇、竜の鍵

□お料理、スタート!
1ページ/5ページ


「豚…豚…どこだろ…」

私はゴンやキルア達と別れ、森の中を走っていた。


早くしないとブハラさんお腹いっぱいになっちゃうよね。

もうみんな見つけてるのかなー…


「豚…豚……あっ!」

目の前に見えてきたシルエット。

あれは……豚!?

……にしては大きい気がするんだけど…?


…ギロリ。

私に気が付いた豚(?)がこちらに振り返る。

鼻が異様に大きくて丈夫そう。

しかも…

「ぶきぃぃぃぃ!!」

かなり…凶暴みたい。


「えぇぇ〜……!?」

鼻息荒くこちらへ突進してくる…豚。

これじゃ猪も同然じゃないか…


私は斜め前に跳んで豚の突進をかわす。

うーん…鼻は頑丈そうだし、身体は脂肪に包まれて攻撃が通りにくいだろうし…

…となれば。


「よしっ」

方向転換してきた豚を、立ち止まって引き付ける。


…私も、こんなところで苦戦してる場合じゃないからね。


外敵を押しつぶそうと頭を下げて突進してくる豚。

私は、ぶつかるギリギリの所で高く跳び上がる。

「そぉー…れッ!!」

そして、頭目がけてナイフの柄を思いっ切り振り下ろした。


「ぶきぃっ………」

どしぃん、と大きな音を立てて崩れ落ちる巨大な豚。

「ごめんね豚さん、これも一応試験だから…」

心の中で手を合わせ、私は丸焼きのための火を起こす準備を始めた。









それから少しして…私は今、豚を焼いてます。

けど…大きさが大きさだけになかなか焼き上がらない。

早くしたいのは山々なんだけど…炎の大きさもこれが限界。


…とまぁ、焼いてる間は必然的に暇になるわけで。

私は試運転というか…確認がてら、手に鱗や鉤爪を出していた。


「………」

ギタラクルさんが、私の首元に針をあてた時。

あの時の嫌な感じはなんだったのかな?

…針に毒を仕込んでた…わけではなさそうだけど。


私は爪の腹で首筋をなぞる。

「…ギタラクルさん、悪い人なのかな…ヒソカさんの仲間っぽいし」


「ボクが何だって?♦︎」

「だから、ヒソカさんの……ってわぁぁぁぁっ!!?」

突然、耳元で聞こえた声。


「ヒ…ヒソカさんっ!?」

「♥︎」

私はビックリしてヒソカさんから距離を取る。

それから、慌てて鱗と鉤爪を引っ込めた。


「いいいきなり後ろから声かけないで下さいよ…!!」

本当に心臓に悪い。
このままじゃ私の寿命かなり縮みそう…。

「ごめんごめん、でもそんなに驚かなくても♠︎」

誠意の感じられない謝罪を受けて、ようやく私は落ち着きを取り戻してきた。


仕返しとばかりに、ちょっと冷たい態度をとってみる。

「…何の用ですか?私忙しいんですけど」

「ヒマそうに自分の手を眺めてたのにかい?♣︎」

「うっ」

あっさり返された。


「キミが誘ったようなもんだろ♦︎そんなオーラを振りまいて♥︎」

「はい?知りませんよそんなの…オーラとか感じられるんですかヒソカさん」

私がそう言うと、ヒソカさんは珍しく驚いたような顔をした。


「………キミ、もしかして何も知らずにやってるのかい?♠︎」

「え??いや、だから何も…」

何が言いたいのかよく分からない。


「…へぇ…♦︎」

「な、何ですか…?」

「いや別に♠︎それより、いいのかい?」

そう言って何かを指差すヒソカさん。

その先に目線を移すと…


「あ〜〜っ!!焦げるっ!」

そこには、焦げる寸前の豚の丸焼きがあった。

私は急いで火を消し、豚の丸焼きを持ち上げる。


「ふぅ、セーフ…!」

「くっくっ♣︎じゃ、行くかい?」

「ヒソカさんの豚は?」

「あっち♦︎」

どうやら汚れないような場所に置いてあるらしい。
いや、いくら汚れないからって食べ物を置く?普通…。


「持とうか?マナ♥︎」

「結構ですっ」


結局、私たちは2人でブハラさんの元へと走ることになった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ