鳥籠の闇、竜の鍵
□狩る者、狩られる者
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出航してから2時間。
私たちが乗っている船は、ゼビル島へと到着していた。
『それでは第三次試験の通過時間の早い人から下船していただきます!』
さっきのお姉さんが活気良く説明を始める。
どうやら、下船のタイミングは2分おきらしい。
滞在期間は1週間…その間に6点分のプレートを集めてここに戻ってくる。
ここは無人島らしいから…基本は自給自足ってことだよね。
…緊張してきた。
『それでは1番の方スタート!!』
声と共にヒソカさんが前に出る。
「じゃ、お先に♣︎マナが会いに来るの待ってるよ♥︎」
「いや待ってなくて結構ですし、会いに行く予定ありませんし…!」
言うと、ヒソカさんはクツクツと笑いながら下船し…すぐ森の中に消えて行った。
…2分後、か…
下船したらまずは…どうしようかな。
先に行ける方が、身を隠して後から来る受験生の動向を探れるという利点はある。
でも、獲物が誰か分からない状況ではそれも意味ないよね…
それよりも先に奥まで行って隠れていた方が良いのかな?
うーん…迷うなー…
私は受験生たちの後ろの方で作戦を考えていた。
というのも、少しは198番の手がかりがあるかなーってみんなを眺めていたわけだけど…
とりあえず…坊主頭の目が小さい男と、帽子とサングラスの色黒の男と、長い槍を持つハチマキの男は私の獲物じゃない。
あの人たちは確か私より後に会場に来たから、302番以降のはず。
これで残るは12人…半分くらいには絞れたな。
自分の記憶力に感謝したい。
「……ねぇ」
「?」
突然かけられた声に振り向いてギョッとした。
だって目の前に…目の前に……あの針だらけの顔があったんだもの…!
「ギ、ギタラク…んぐっ!?」
声を出そうとしたら口を手で塞がれた。
無駄に力が強い…
く…苦しいですギタラクルさん…!!
「静かにしててよ、言いたいことあるだけだから…カタカタ」
言いたいことあるだけでどうしてこうも手が出るの貴方たちは…!
会話がバレたくないっていうのは何となく分かるけど手加減なさすぎやしませんか!?
そんな心の叫びも虚しく、そのままの状態でギタラクルさんは小さく耳打ちした。
「…ヒソカとは一緒に行動するな」
「……?」
「返事は?」
頬を掴む手に力を入れられて、訳も分からないまま何とか頷く。
「そ。分かったならいいけど」
パッと手が離されて、私はげほげほと咳き込みながら涙目で頬をさすった。
「か、かなり痛かったんですが…!?」
ちょっとは手加減して下さい、なんて反論したら「これでもかなり手加減してる」って言われた。
手加減なしって一体どうなってしまうんだ。
『2番の方、そろそろ準備お願いします!』
あ、呼ばれてしまった。
「…では、行って来ます…」
「カタカタカタ」
ギタラクルさんに見送られて(?)私は受験生たちの前に出た。
『では、2番の方スタート!!』
いよいよだ…!
緊張と、それから好奇心。
無人島…こんな大自然なんて見たことない。
気を抜くことは出来ないけど、怖い反面楽しみでもあった。
色々な意味でドキドキしながらタラップを降りる。
「マナ!頑張ろうね!」
声に振り返ると、ゴンが笑顔で手を振っていた。
その後ろには、レオリオやクラピカ…キルアの姿も。
「くたばんじゃねぇぞー!」
ゴンに手を振り返し、
声を上げるレオリオや微笑むクラピカにも手を振る。
…それから…
「キルア!」
呼ばれたキルアは驚いたように私を見る。
「私も、私にできることを精一杯やることにした!だから…」
拳をキルアに向けて突き出す。
「キルアも負けないでね!」
「……ぷっ」
…あ。
キルアが笑った。
「マナお前、それで脱落でもしたら格好つかねーぞ!」
言いながらも、軽く拳を私に向けてくれる。
「…1週間後に会おうぜ」
キルアの言葉に大きく頷いてから…
私は、森の中へと駆けていった。
第四次試験、開始!