鳥籠の闇、竜の鍵
□噂の彼と、塔の中
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…会場に着いてからというもの、やけにヒソカさんと会う。
何でだろう…どうせそんな縁があるならゴンたち4人とかにあれば良かったのに……
「やぁマナ♥︎」
「……こんにちは」
「おや♠︎なんだいその鬱陶しそうな表情♦︎」
「いや、別に…それより、そろそろ降ろして下さい…」
落ちてきた私を受け止めた格好…つまりお姫様抱っこ状態。
受け止めてくれたのはありがたいけど…一向に降ろしてくれないしニヤニヤしてるし!
「ククッ、そんなに睨むなよ♣︎興奮しちゃうだろ♥︎」
「へ、変態…!」
どうしてそういうこと平気で言うかなぁ……!
抵抗の意を示すため、私は身体を目一杯ヒソカさんから離した。
「全く、ヒドイなぁ♠︎」
やれやれといった様子のヒソカさん。
そのままゆっくりと私を地面に降ろしてくれた。
「…それにしても、2人で進む道なんてあるんですね…」
てっきりみんなバラバラの道で1人ずつ進んで行くのかと思ってたけど。
「んー♦︎どうやらそれだけじゃないみたいだよ♠︎」
「?」
ヒソカさんの言いたい事が分からなくて、彼の顔を見る。
「ホラ、そこの台に置いてあるもの♣︎」
指差す先には…確かに、台座の上に何かが置いてあった。
あれは……手錠?
「台に何か書いてありますよ。“この手錠を2人で片手ずつはめれば扉が開く”……」
えっ。
この手錠を……
2人で、片手ずつ…ってことは…
強いて言うなら“2人3腕”状態ってことだよね…!?
ちらりと、ヒソカさんの顔を見上げてみる。
「なるほど…動きを制限するつもりかな♦︎」
そして…上唇を舐めながら口角を上げて言った。
「手錠をはめた後、片方の人が死んじゃったらどうなるんだろうねェ…♥︎」
「なっ!?」
ぞくり…背筋が凍るような感覚。
殺気だと気付くのに時間はかからなかった。
うそっ…私を殺して1人で進もうってこと!?
ヒソカさんからしたら、2人で進むより死人を運んで進んだ方が楽ってことなんだろうか。
ここで戦うことになっても、今の私の力じゃヒソカさんに簡単に…
『ここは一蓮托生の道。クリアの条件は“どちらも死なないでゴールすること”だ。片方の受験者が死んだ時点でもう片方も失格とする』
その時、私たちの頭上からそんな声が聞こえた。
はっとして見上げると…そこには防犯カメラのようなものとスピーカー。
…ということは、試験官…?
「冗談だよ♣︎まだマナは殺さない♠︎」
そう言っただろ、とニヤリと笑いながら私を見るヒソカさん…。
…“まだ”殺さない、って…
いや確かにそう言ってましたけどね。
それでもあれだけ殺気飛ばされたら疑いたくもなるでしょうよ……
…とはいえ、怒ろうが文句を言おうが無駄なことは分かっている。
それに…殺されないとはいえこの手錠を付けなければ進めない状況には変わりない。
できれば穏便に…かつ、ヒソカさんに邪魔だと思われないように。
なんとかこの第三次試験をクリアしなければ…!
「…よし。それなら行きましょうヒソカさん!」
私の右手とヒソカさんの左手が鎖で繋がれる。
その距離、10cm弱。
「利き手、いいのかい?♦︎」
「悔しいですけど…たぶんこっちの方が効率はいいと思うので」
「くくく♥︎じゃ、行こうかマナ♣︎」
…色々と不安なところはありますが…何にせよ。
トリックタワー、攻略開始です。