鳥籠の闇、竜の鍵

□狩る者、狩られる者
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結局私は、島に着いてから森の奥へと進み続けている。

出発してから大体10分くらい経っただろうか。

ということは7番目くらいまでは出発したのかな…?


結局私は、誰を待ち伏せするでもなく森の奥へと進んでいる。

せっかく早めに島に入れたんだ。

人が少なくて遭遇する確率が低いうちに、隠れたり他の人のプレートを狙えそうなポイントを探しておこう。


「それから…何と言っても水と食料だよね」

休む場所なら洞窟とかもあったし…って、それ以前にゆっくり休んでる時間はなさそうだけど。

流石に1週間飲まず食わずは辛いかなぁ。


水は…湧き水を探すか朝露を集めるかしないと。

生水を飲んだら危ないってことくらいは私も知ってる。

本当は火を起こして海水なんかを蒸留させても良いらしいんだけど…
煙で他の受験生に自分の位置を知られるのは避けたいし。


食料はこの辺りの植物やら川の魚やら、自然が多いおかげでそんなに困ることはなさそう。

毒のある植物の知識はあるし…大丈夫だとは思うけど気を付けないとね。


そうやって島を散策しながらも、周囲には常に警戒網を張っておく。

いつ襲われるか分からない。

もしかしたら、今この瞬間も誰かに見られているかもしれない。

…そう考えると何だか視線を感じるような気もしてくるくらいだ。



本当は竜の姿で1週間過ごすのが一番安全なんだろう…

けど、実は私はあまり長い間竜の姿をとることができないのだ。


…とはいえ正確には、1週間くらいならできないわけではない。

どういうわけか竜の姿になると体力を著しく消耗する。

力を最大限に発揮できるのは…長くて恐らく丸一日くらい。

それ以降はどうしても疲労で動きが鈍くなるっていう欠点があるんだよね…。


「まだまだ分からないことは多い…か」

呟きながら、鞄の中にあるお守りを思い浮かべる。


…ギタラクルさんにお守りを渡した時の火花のようなもの…

あれは一体なんだったんだろう。

見る限り、ギタラクルさんが原因だとしてもあれを発生させたのは彼ではなさそう。

ヒソカさんの素振りなんて妙に怪しかったし…本当にどこまで知ってるんだか…。


…まぁ、今は考えてる余裕なんてないか。

とりあえずはこのサバイバルを乗り切って、なおかつプレートを集めないと。

私は気合を入れ直し、更に歩を進めていった。









…夕暮れ時。

今日は出発が昼ごろだったというのもあって、もう空が茜色に染まってきた。

ここまで、まだ誰にも会っていない。


「……意外と会わないものなんだなぁ…」

この島自体はそんなに大きくないはず。

そろそろ誰かと遭遇してもおかしくないと思うんだけど……



……いや…

もしかしたら、会っていないだけで近くにはいるのかもしれない。

つまり、私が認識してはいないけど相手は私を認識している状態。


根拠はなかった。

けど、本能的…というか、第六感のようなものだろうか。

何かが、私の頭に警報を鳴らした。


…もしかして…

尾けられてる…!?


ハッとして辺りを見回したその瞬間。

銃声が森に響き渡った。
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