ILLEGAL RARE

□#4
1ページ/2ページ

『うーん……』

夜中

どうにも眠れないレミリアはテラスから月を眺めていた

『…………』

月を見て考えるのはあの吸血鬼

『(どうして私は″忘れたい″と思ったんだろう……)』

考えても思い出せるわけもなく、レミリアは溜息をついた

そこに、フと影がかかる

『……?』

何事かと思い顔を上げるも、そこには何もいない

悪意は感じないから害はないだろうと結論づけて、レミリアは部屋へ戻るために踵を返す

『……………っ!!?!』

後ろから突如口を抑えられる

「叫ばれると厄介だからな……あの男はどうにもいけ好かん」

『……!!』

聞いたことがある声にレミリアは首を少し後ろへ向ける

そこにいたのは、アクセル

「やはり眠れぬのか?」

アクセルの問にレミリアは言葉に詰まる

『…どうしてそれを?』

顔を前に向き直し、顔を見ずに問い返す

「お前は俺の熱なしでは寝られぬ」

アクセルはレミリアの長く美しい髪を一房掬い口付ける

「相変わらず甘美な香りだな」

『血が欲しいの?』

「強ち間違いでもないが……」

フム、とアクセルは唸り、何かを思いついたのかレミリアの肩をつかみ向き直らせる

「レミリア…お前が欲しい」

『……は?』

小っ恥ずかしい歯の浮くような台詞をサラリと言いのけたアクセルをポカンとした顔で見つめる

『…私にメリットが感じられないわ』

アクセルの真意を図るため、レミリアは問う

「ム……相変わらず、感情論は存在しないのか」

アクセルは少し考えてから、笑った

「そうだな……俺はお前に睡眠と食事…それから快楽を与えてやろう」

その言葉にレミリアの心が揺らぐ

『……最後以外、なら″私″をくれてやってもいいわよ』

その言葉にアクセルはニヤリと笑う

「そうか……」

『ちょっと!!』

レミリアの返答に満足したのか、アクセルはレミリアを抱き抱える

『どこに連れてく気!!?!』

「眠れぬのだろう?」

そう言ってアクセルはテラスから飛び降り、夜の街を駆ける

『………ん』

頬に当たる風は冷たい

けれども、レミリアは抱き抱えられているアクセルの温もりを感じて、眠りに落ちた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ