Episode
□第四章
2ページ/8ページ
「あ!エレナさん!!」
宿に戻って来たサクラはソファーで寛ぐエレナに気が付くと駆け寄った。
そんな彼女を見てエレナは不服そうに眉を顰める。
「そんな慣れ慣れしくしないで。気色悪い」
彼女の素っ気ない言葉をサクラは軽く受け流す。
そしてサクラの後ろに立っていたロビンはエレナを見て少し照れくさそうな顔を浮かべた。
「お帰り」
ロビンはそう話し掛けるとエレナは笑みを浮かべた。
:
「じゃあアイザックはサクラ自身を狙ってるんですね」
あの地下牢で子狼は黒鋼に尋ねる。
そして黒鋼はゆっくりと頷いた。
「でもそれはエレナの嘘かも」
ファイは目を閉じながらそう呟く。誰もがそれを疑っていた。
「そっちの面も考えた方がいい」
頷きながら黒鋼は答えた。しかし
「そのムーンストーンをエレナさんが持っていればサクラは安全かも」
子狼は呟くように話したが、黒鋼もファイも頷きはしなかった。
「エレナが信用できる人間ならな」
黒鋼が答えた瞬間だった。
「私が何だって?」
笑みを浮かべながら3人の目の前に姿を現す。
「アンタに全て話したのに信用して貰えないなんてね」
エレナは長い髪を揺らしながら3人を見つめた。
「お前の今までの行動を見れば当たり前のことだろ」
呆れ呆れに答える黒鋼にエレナは俯いた。
「まぁいいけど。アンタたちアイザックに会いたいと思わない?」
「どういう事?」
エレナの誘いにファイは首を傾げた。
「今日ね、ローズウッド邸で仮面舞踏会が開かれるんだって。そこでアイザックがアンタ達に来て欲しいって」
「何で俺たちのことを…」
子狼の問いにエレナは長い睫を揺さぶる。
「彼は何でもお見通しよ。で、行くの?行かないの?」
「お呼ばれってなれば行くしかないよねー」
何か楽しそうに話すファイにエレナは小悪魔に笑った。
「そうこなくっちゃ」