無気力少女は裏切りに生きる
□プロローグ
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ふと目が覚めると、そこに立っていた。
目の前にあるのは、ごく普通の街。
だが、先程まで英語の授業中に居眠りしていた私は、何が起きたかわからなかった。
辺りを見回し、状況理解に徹していた時、ある物を見て唖然とする。
心は追いつかずとも、頭で全てを理解した。
「……百夜……孤児院……」
ここは、終わりのセラフの世界だ。
私……黒沢弥影は、へなへなとそこに座り込んだ。
マジですか、これがトリップって奴ですか、それとも授業中に見てる夢ですか、夢ならできればショタなミカくんを是非この目で見てから起こして下さい先生!
だが、頭がここまで冴えているということは、夢じゃないんだろうな。
ぐるぐると思考を巡らせていると、そこに追い打ちをかけるように、突如遠くで爆発音がした。
それはどんどん広がっていき、あちこちで煙が上がる。
街は阿鼻叫喚の渦に飲み込まれ、聞こえてくる悲鳴や叫びは、どれもまだ幼い子の物であった。
ああ、そうか、致死性のウイルスが蔓延したのか……今、この瞬間。
今度ばかりは私の心身共に展開について行けなかった。
意識が遠のく感覚に身を任せ、迫り来る地面にさえ恐怖出来ぬまま、私は目を閉じた。