無気力少女は裏切りに生きる

□第一夜 地下都市の脱走劇
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あれから、四年の月日が流れた。

気絶している間に、私は吸血鬼達の地下都市に連れていかれ、百夜孤児院の近くに居たのもあり孤児院の子供達と同じ所に住む事になった。

私があの時気絶してしまったのは、やはりというかなんというか、精神的ショックだったらしい。

何故精神的ショックを受けたかについては、親が死んだからだと周りが勝手に勘違いしてくれたので、ありがたい。

容姿は前の世界の平凡な容姿とは違ってわりと美少女で、年も15歳から(見た目からして)10歳になっていた。

四年経った今は14歳。

物語に影響を与えぬよう、孤児院の子達ともあまり仲が良くない。

とまあ、現状についてはこんな物だろうか……いや、一つ忘れていた。

実はまさに今日、孤児院の子供達が地下都市からの脱出を試みる日なのだ。

優一郎と茜の会話を偶然聞いてしまった私は、2人が去った後の屋上(?)で、一人悶々としながら考えていた。

私は、どうするべきなのか。

優一郎が逃げるのに弁乗して逃げ出そうにも、それは不可能だと予想している。

そもそも、子供達が私も共に逃げ出そうとすることを了承しないかもしれないし(仲良しじゃないからね)、仮に生きて外に出ても私は何も出来ない。

そうして出た結論は、一つであった。

……私は、この地下世界に残る。

私だって、吸血鬼達に家畜の如く扱われるのは嫌だ。

漫画だから前は何とも思わなかったが、今は逃げ出したがる優一郎の気持ちが痛い程解る。

それでも、展開を知っているからこそ下手な死亡フラグは立てない方が、どう考えても賢明。

昔の奴隷よりはかなり良い暮らししてるしね。

モヤモヤとした思いは残るが、結論を出した私は建物の中へ戻った。


その夜、誘いが来た。

「君は確かに百夜孤児院の家族じゃないけど……それでも、放っておけないよ」

「……さっきから言ってるでしょ、私は生きているだけで充分。下手な事して死にたくないんだって」

「弥影ちゃん……」

さっきから天使ミカくんは一向に折れてくれない……が、少し諦めの兆しが見えている。

……突き放す形になるが、仕方ないか。

「全く、好い加減にして。私の歳知らないの? 私、14なんだよ。それに、吸血鬼から逃げようなんて、馬鹿馬鹿しい。ま、死なないようにね」

「……」

ついに天使ミカくんは何も言い返せなくなった。

私14歳だし、ここまで粘ったのは奇跡だな。

「おい、ミカ。こいつが行かねえつってんだから、行こうぜ。
……おい、弥影。俺たちは絶対に脱出してやるからな。精々悔しがってろ」

あらら、優一郎くん敵意剥き出し……まあ、当然か。

私は元々優くんファンでは無いので、まあ構わない。

「……じゃ、もう行ってきなよ。私は眠いから寝る」

そう言って私は背を向けた。

それから程無くして、ミカエラや優一郎、それから話の一部始終を聞いていた子供達が部屋を出て行った。


ーーーあの2人以外……死んじゃうのかぁーーー

あの、可愛らしい子供達が。

漫画では見れない子供達のそれぞれの個性を、遠目に見てきた。

(落ち着かなきゃ、所詮、他人事……)

駄目だ、モヤモヤする。

寝る前に歯磨きしてなかった事に気付いて、めんどくさいからいいやと思っても落ち着かなくて最後は結局歯を磨くアレだ。(歯は欠かさず磨いて下さい)


……そして結局、当初とは少し違う結論を出した。

彼らを尾行するという結論を。
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