無気力少女は裏切りに生きる

□第四夜 ヨハネの四騎士
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吸血鬼の都市から厄介払いされた……いや、任務を命じられ出て来た私は、崩壊した世界の中を彷徨っていた。

と、ある物を視認して、足を止める。

「……でた」

ヨハネの四騎士。

所謂、フィールドをうろつくモンスター。

右手の剣を、ギュッと握り締める。

練習でものすっっごく手加減したフェリドやミカエラや、捕らえた人間相手に練習したことはあるが、実践はこれが初だ。

「まあ、でも……」

襲いかかってくる化け物。

冷静に、冷静に……

斬り殺す。

「うわー、第七始祖なめたらダメだな、これ。手加減しててもヨハネの四騎士なんて足元にも及ばないや」

まあ、お陰様で私は余裕だ。

と、その時だ。

遠くの方から、男の叫ぶような声が聞こえてきた。

何か言っているように聞こえるが、よくわからない。

「行ってみるか…」

身体をくるりと右方向に向け、勢いよく駆け出した。


「クッ、不味い! 撤退だ!」

はい、ビンゴです、殺されそうな軍の方々を発見致しました。

四騎士が…1、2、3、……。

これは、助けるに限る。そして渋谷へ案内させよう、そうしよう。





ヨハネの四騎士の一撃が、俺の目の前に迫っていた。

全てがスローモーションの世界に変わる。

仲間の顔が、視界の端に見えた。

彼らとの思い出が走馬灯の如く蘇ってくる。

そして、鋭い痛みが俺を襲う……


……筈だった。

突如目の前の化け物が、真っ二つに切り裂かれた。

何が起きたのか、全く理解不能だったが、その瞬間、俺は見た。

長く流れるような黒髪をなびかせた、

瞳が紅く、妖しく光る、一人の少女を。

不気味だ、と思った。

美しい、とも思った。


俺はその瞬間を、一生忘れないだろう。
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