無気力少女は裏切りに生きる

□第六夜 吸血鬼脱走事件
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その後の説明を受け、私の具体的な処置を知った。

なんでも、暫くは謹慎中の優と同じ普通科で同じクラスに入れとのこと。

ってか現在進行型で教室です、はい。

年齢詐称ですね、優君達より私二歳年上です。

まあ話が逸れたが、何度か戦闘訓練を行った後、軍に入れるか決まるそうだ。

普通科での生活も、所属を決める重要なポイントらしい。

だが私は、吸血鬼脱走事件の際に功績を上げれば月鬼ノ組に入れるのではないかと睨んでいる。

まあ、原作に影響与えないためにもそれは無理だけれども。

あまり原作ブレイクしちゃうと展開が読めなくなりますから。

少なくとも今は原作通りに進めたい。

なら、どうやって早く月鬼ノ組に入れば良いのやら……。

物思いに耽っていると、チャイムがなった。

放課後だ。

「授業終わったー」「部活だり〜」「ねえ帰りアイス食べようよー」

これまた聞き覚えのあるモブの台詞である。

美少女シノアちゃんと優一郎の会話も聞こえるが、あくまで私は生徒Fとして傍観。

しかし目では彼らを見ていても、心は上の空だ。

原因は、今日起こる吸血鬼脱走イベント。

だから先程から色々考えているわけだが……あ、与一くんが頭蹴られてる。

そろそろ考えるのが面倒になってきた。

少しばかり倦怠感に襲われた私は、机に突っ伏した。

数分後、優一郎達が立ち去ると、教室の騒がしさは幾分かマシになった。

だが、山中含む男子達や数名の女子生徒の所為でお世辞にも静かとは言えない。

私は席を立ち、窓から空を見上げた。

ついこの間までは見ることの叶わなかった、遥かな空。

そこまで見たいと思ってはいなかったが、やはり嬉しい物はある。

空は、どこの世界でも綺麗だな。

その時、

ーーードンッ‼

物語の合図が……爆音が聞こえた。
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