よーせんらいふ!

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どうしてこうなった。



「あの、転入生クン?」

「嫌だなぁ。オレの名前は氷室辰也だよ」

「ああそう。で、氷室クン」



顔が近いよ。


そう言えば、彼は片方しか見えない目を細めて微笑んだ。ちくしょー眩しいなこのイケメン。

私の顎を持ち上げ、チュウできそうな距離にいるのは氷室辰也クン。今日アメリカから転入してきた帰国子女のイケメン。

クラスは別だけど、放課後なんか迷子なうな彼に声をかけた瞬間「Beautiful…!」と妙に良すぎる発音で近付いてきて、で、この状態になった。



「こんなに美しい女性に会ったのは人生で2度目だよ」



2度目かよ。

そんなツッコミを飲み込み、彼を引き離しにかかった。え、私が男の力に敵うか?敵うわけないでしょ。

つまり、引き離すのは無理だった。



「あんた迷子だったんでしょ?どこ行きたかったの?」

「オレは、バスケ部に入りたくて入部届けを出しに行きたいんだ。けど、体育館に行くよう言われてしまってね」



バスケ部か。厄介なのが増えた。



「私も今体育館行くとこだから、一緒に行く?」

「いいのかい?」

「たらしでもバスケ部に入りたいって言ってる人を放置出来ないよ、マネージャーとしてね」

「君、バスケ部のマネージャーなんだ!」

「うん、まあ、ハイ……」



何だろう。
この漂う色気に相反するベビーフェイス……
帰国子女ってだけですげーってなるのに、こんなイケメンとか。神様は不公平だ。



「君の名前を聞いていい?」

「あ、雅、です」

「ふふ、敬語なんて使わなくていいよ。雅か、美しい君によく似合う名だ」



照れますが。
社交辞令だろうとお世辞だろうと、言われればそりゃ照れますよ。

ていうか早く行こうよ体育館。もうこの人と2人きりでいたくない。恥ずか死ぬ。



「体育館行こ?」

「ああ、そうだね」



で、大人しく着いてくるのはいいけど。



「……」

「……」



めっちゃ視線刺さるぅぅぅぅぅ!

いや、周りの視線だけじゃない。ていうか氷室辰也の視線がめっちゃ背中にビシバシ感じる!



「……な、何?」

「いや、大和撫子というのは君のような人のことを言うんだろうな、って」



ぐふぅ!

こ、このエレガント紳士やりおる!
ていうか自分で言うのも何だけど、私みたいながさつな女が大和撫子なら大和魂は失われという証拠なのでは!



「氷室クン、誰彼構わずそう言う発言するのはどうかと思うよ」

「誰彼構わず、なんてしないさ。オレは思ったことを言ったまでだよ」



くそぅ。

やられっぱなしは気に食わん。どうにかして、コイツの焦った顔を見てみたい。



「氷室クンは、私にどうして欲しいの」

「そうだね、どうしてもらおうかな。…ッ!」



氷室クンの手を取り、指先だけを私の胸……は止めとこ。鎖骨に触れさせた。

おうおうイケメンくん焦っちゃって可愛いな。



「こういう大人な事、したい?」

「え、あ、」

「あんまりからかうと、痛い目見るよ、転入生クン」



極めつけは彼のネクタイを引っ付かんで引き寄せ、耳元でリップ音。うるせぇそうしないと届かないんだよコイツ無駄に背高いんだよ。

周りからの黄色い悲鳴?悲痛な叫び?を聞きながら、氷室クンを離した。



「〜〜〜ッ!」



あんらまぁ!
めっちゃ顔が真っ赤ですよ!ほほほほ!

してやられたって顔しちゃって可愛い〜



「じゃ、体育館行こうか」

「そ、そう、だね…」



色気対決で私にかとうなんか、100年早いっての!



(なんてBewitching(妖艶)な女性だ…。ますます気に入ったよ)

(ああ……また女子を敵に回すようなことしちゃったよ……色気で負けたくないとか訳のわからない対抗心燃やす癖治さなきゃ…)
 

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