とうおうらいふ!

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「今吉先輩!好きです!付き合って下さい!」



今日も、今吉は告白を受けていた。

いつもなら適当に付き合って、適当に体を重ねて、適当にわかれる、という手はずだった。

しかし、今日ばかりは違った。



「スマン。ワシ、好きな子おってん」

「へ?」

「もう、来る者拒まずは止めや。堪忍な」



そう。

全ては雅を手に入れるため。
今吉は初めての本気の恋で戸惑いながらも、とにかく女遊びを止めた。



「お前にそこまでさせるあの子って、相当凄いな」

「何やて?」

「いや、別に……」



その日も今吉の頭の中は雅一色だ。



「! 諏佐、諏佐」

「何だよ、授業中だぞ」



授業中でさえ、今吉は上の空。

そしてこの日は、



「あれ、雅ちゃう?今日は体育の授業あったんやな〜」

「……」



前の席に座る諏佐に、校庭で準備体操をしている雅を指差しで示したりしていた。



「あ、転んだ。何やのあのかいらしい生き物」

「今吉、頼むから黙ってくれ」



授業が終われば今度は雅のことを考えて動かなくなる。そりゃあもう微動だにしない。


こいつ生きてんのか。


そう諏佐が心配する程度に動かない。



「……なぁ今吉」

「ん?」

「いや、お前さ、あの子のどこに惚れたんだ?」

「どこて言われてもなァ……一目惚れも同然やったし、……顔?」

「いや、俺に聞かれても……」

「せやなー、顔もかいらしいし、なんかこう、やわっこそうやん?」

「だから俺に聞くな」

「この前話して思たんやけど、性格もごっつええし」

「話したって言っても、あの部活以来話してないだろ」

「いや、ワシの目に狂いはない。あの子は確実にええ子や」



そんな良い顔で言われても……


諏佐は呆れながら相槌を打った。



「……そもそも、お前はどこであの子を見たんだ?女バスなんか全然見もしなかったのに」

「あー、」



今吉は、当時のことを思いだした。



「……」

「アカンアカン。ほんま顔ゆるっゆるになんねん。もうマジ堪忍して」

「もうお前のゆるっゆるな顔は見飽きてるから安心してくれ」
 

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