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□忍足侑士警部補の殺人事件観察
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side.忍足
その後俺は忍足さんと別れて捜査に戻ることにした。忍足さんはまだ眠いとか動きたくないとか言って本部に戻ってしまったけど。
とりあえず被害者と仲が良かった人とか被害者がどんな人だったか聞いて回ったんだけど、なんかどれも犯人の手掛かりになる様な物じゃなくて…
しかも宍戸ってヤツ、めちゃくちゃいい奴みたいじゃん?近所に住んでた人とかも毎日あいさつさてくれる好青年だって言ってたし、職場の人からも信用されてたらしいし。
誰かに恨まれるような奴じゃないって意見が大半だった。
「やっぱり無差別殺人かぁ…」
それにしても、どうも腑に落ちない事がある。今回の事件には証拠となる物が少なすぎるのだ。
普通なら、殺される時に少しでも抵抗したことにより出来る索条痕(さくじょうこん)とか、首を絞められた事による指紋の付着とかあってもいいはずの証拠まで一切ない。
通常は犯人が手袋をしていても指紋が分かるが、今回の犯人は手袋ごと水に濡らして首を絞めたらしい。そのお陰で指紋は取れなかった。
つまり、犯人はどういった物が証拠になるのか知っている、という事になる。
「もしかして…」
警察内部の誰かがやった、とか…ないよね?