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□忍足侑士警部補の殺人事件観察
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side.切原
あまり目覚めの良い朝ではなかった。
モーニングコールは上司からの電話。
慌てて出てみると「事件が起きた。」その一言で通話は切れた。
まだ布団に潜っていたかったがそういう訳にもいかず、仕方なく出かける準備を始めた。
家を出る直前にメールが届く。殺害現場は○○区の△△公園。
メールを確認すると靴を履き、ドアを開けた。
ここに、1人の警察官、切原赤也の朝が始まる。
殺害されたのは若い男で自分よりも1つ年上の奴だった。男の名前は宍戸亮。職業は保育士。殺害現場はどこにでもあるような公園で、首を絞められて殺害されたらしい。
被害者の首には赤黒い手の跡がくっきりと残っていた。
だが、犯人は手袋か何か付けていたらしく、指紋は残っていなかった。抵抗した様子もないことから犯人は被害者の知り合いと見られている。
面倒な事件だなぁ
赤也は心の中で1人ごちた。
とても厄介で、面倒な事件である。
だが事件に取り掛かる前に1人電話しなければならない人がいた。
上司の、忍足侑士。
関西出身で関西弁を喋る彼は俺以上に朝に弱い。
だが、上司が居なくては事件を調べる事はできない。
昼近くに出勤するのが常な彼を呼び出さなくては。
ただいまの時刻は朝8時半。果たして起きているだろうか。いや起きていないと困る。怒られるのは俺なんだから。
静かに鳴るスマートフォン。
彼は、出てくれるだろうか。