仙道 後半戦
□conte 46
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玲 のシューズの紐を片膝ついて結んであげる藤真。見つめあう藤真と玲、このあとキスでもしそうな勢いだ。
「キレイに撮れてるよ」
ちょっと変な気分だけど、と仙道は複雑そうに笑う。そして、玲の手をひいて、自分の膝の上に座らせた。
「健司が彰だと思ってやれって」と言って、玲は両手で仙道の頬を包み、自分の方に向けた。
「でもこうやって向き合うたび、何度吹き出しそうになったか」
でも、それがはにかんだ感じになったようで、けっこうあっさりOKが出たりした。玲はそのまま顔を近づけ仙道に軽くキスをした。
「キスシーンとかあったらどうすんの? いくら藤真さんでもそれはちょっとなー」
今度は仙道から顔を近づける。唇が触れ合ったまま玲が答えた。
「スポーツメーカーだよ? そこまでやらされないでしょ」
「水着は!?」
「それもないって。でもあっても競泳用かな?」
クスクス笑いながら、キスしあってると、仙道の手が不穏な動きを始めた。制服の中に入り込んでくる。玲が上から押さえつけても、強引に侵入してこようとする。
だが、その手がぱっと離れた。廊下から人の話し声が近づいてくる。立ち上がり上着の裾を直せば、がらっと勢いよくドアが開いた。
「あ、仙道さん、玲さん」
彦一だった。
「これからここで授業?」
「そうです……あー、わいも見ましたでー」
パソコンの画面に気づいたようだ。
「藤真さんとお似合いで。さすが玲さんや」と口にしてから、仙道を見てハッとし、 「仙道さんとの方がしっくりきますけど」と慌てて言い直した。
それより、姉ちゃんから聞いたんやけど、編集部ではこの子は誰だ!?って話題になってたそうや、と教えてくれる。
「ま、こうなったからには、このバッシュが売れてくれることを願うよ。彦一くんもよろしくね」