三井長編 続編・番外編
□suite 08
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肌にまつわるような秋風が、さあっと落ち葉をはいていく。その道を部活帰りのジャージに入り混じって、制服姿の生徒が校門に向かって歩いていくのが見受けられた。
それらをぼんやり眺めながら、来週はどうするかと宮城と話していると、見知った連中が通りかかった。引退したバスケ部の3年だ。今日は模試と特別講座があったらしい。
「真面目にやってっか?」と声かけると、バスケ部の特訓に比べたら、体力的には楽っす、と嬉しそうに寄ってきた。
かわいい奴らだ。三井さん、三井さんと言ってくれる彼らに、少しささくれていた気持ちが癒されるような気がする。
受験生たちにとっても、少しばかりの息抜きになるようで。そんな風にひときわデカイ集団が笑い合っていれば、周囲の目を引く。だから気付かないはずはない──
コソコソと通り過ぎようとする桜輔を宮城がアレと指さした。「中林!」と呼び止められて、明らかにマズいという顔を彼がしたのには、三井もさすがに感づいた。だてにずっと面倒をみてきたわけじゃない。一団が去ったあと、ちょっと待てと引き止める。
「な、んすか?」
「それはこっちのセリフだ。避けようとしたわりには、何か言いたげなんだよ」
ふうーと三井はひと息ついた。
「吐けよ」