三井長編 続編・番外編

□Un cadeau de Noël
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「やっぱやめた」
「あ、騙したな!」
「だって、寒いんだもん」
「だから温めてやるって」

紫帆を抱き寄せ、ベッドに押し倒し、抵抗されるのもかまわず捲り上げた。三井の力のまえでは、わずかばかりの悪あがきはまったく無意味で、何の役にも立たない。それを知っていても…尚且つ力のない両手で抗うのは、もっと求めて欲しいから。

そんな紫帆を見つめる三井の視線は甘く優しい。ほら、と促されて、腕を抜いて脱ぎ捨てた。
ネックレスもはずそうと手をかけると、「つけてろよ」と声が落ちる。薄暗がりの中、三井の手は紫帆の白い肌に沿うチェーンをなぞるように辿り、そのまま緩やかに柔らかな胸へと。嬉しそうに細められた目が、紫帆の心をトロリとさせるほど狂おしく突き刺さる。

自分でも思ってもみないほど息が乱れ、声が漏れる。三井に触れられたところ、合わさる肌から彼の体温が沁み込んでくるような感覚。そのすべてが心地よい。安心する。それを三井にも感じてほしいと、自ら三井を愛撫する。

こんな夜は誰しも積極的になるのかもしれない。いつもより絡んでくる紫帆に、三井はヤバイと顔をしかめた。気を抜いたら簡単にもっていかれそうだ。

「紫帆……」悩ましいつぶやきが三井からこぼれた。そんなせつなげに名を呼ばれたら、眉を寄せ、快楽の波を逃がすかのように息をつかれたら、紫帆の方が三井へのどうしようもない感情に押しつぶされそうになる。ただ一緒にいるだけで幸せなのに。どうしてこんな気持ちになるのか。

「ね…っ…お願い……」と素直に言葉にした。三井もいつもだったら、「何が?」とか「ちゃんと言わねえとわかんねー」などと楽しむくせに、今夜は駆け引きなく応じる。紫帆に覆い被さるように上になった。

かといって、そのまま……とはいかない。
髪を梳き、頬をなぞり、揺れしたたる紫帆の瞳をたしなむと、触れるか触れないかのところで焦らす。それにイヤイヤと言うように首をふる彼女から、こぼれるように落ちるネックレスのチャーム。それを鎖骨の上に戻すと、一気に貫いた。

細いチェーンが首筋にまつわり、紫帆をシーツに縫い留めているかのように見えて、何だか異様に興奮する。両手首をつかみ、ベッドに押さえつけた。



そうやって貪るように愛し合った後、紫帆がシャワーを浴びている間に三井は眠りに落ちてしまった。

(あ……私もプレゼント用意してたのに……)

渡し損ねたきれいにラッピングされた包みを、紫帆は三井の枕元に置いた。
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