続・5年後
□Un cours
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飲んでいると、今度は玲から電話が入った。
「彰? 明日休みなんでしょ? そっち行ってもいい?」
「あ、まだ外なんだ。オレが玲んち行くよ」
「そう? わかった」
その時、電話の向こうで「玲さん?」と呼ぶ若い男の声が聞こえた。「あ、今いきます」そう玲は答えていた。
なんだ?と思う間もなく、玲が「待ってるね」と言って電話を切った。
取材相手か関係者なのだろう、仙道もそこまで気にしなかった。
シャワーを浴びて出てきた仙道に、玲は冷たいお茶を渡した。
「今日は誰の取材?」
「名前言っても知らないと思うけど、最近注目のテニスプレーヤーなの。オーストラリアにずっと住んでて少し前に帰ってきたっていう」
「ふーん、で食事会まであったんだ?」
「そう、テニス協会主催でね」
松〇修△も来てたよ、と玲は笑いながら言った。仙道は今日は子供たちにバスケを教えにいったと聞いている。
「そっちは? 子供たちのパワーにやられた?」
「そうだな、恋人いるんですかと質問されて焦ったよ。子供には嘘つけないだろ?」
「ふーん、で、何て答えたの?」
仙道はニヤっとしながら玲を自分の膝の上に座らせた。耳元で息を吹きかけるように「バスケが恋人って言った」と答え、そのまま耳たぶをくわえた。くすぐったくて玲は身をよじるが、離してもらえない。
「それ、昔…聞いたことある……困ったときに彰が使う手……」
「ん、そう?」
「逃げるのはうまいんだから……」
わざと焦らすように首筋にキスを這わせる仙道に、すでに自分は丸め込まれてる。まだ待ってよと思うも、自分の手は仙道を押しかえすどころか、まだ濡れている彼の髪の感触を楽しんでいる。
その髪をグイッと引いて、上向かせた仙道の唇に自分の唇を重ねた。